【越山若水】1960年代、世界は東西冷戦と軍備拡張のさなかにあった。核ミサイル開発の競争が激化し、62年のキューバ危機は「あわや核戦争」という恐怖の事態になった▼そのとき、昨年のノーベル文学賞を受賞した米国のミュージシャン、ボブ・ディランさんが作った楽曲が「戦争の親玉」である。物騒な社会を痛烈に批判した▼♪戦争の親玉のお出ましだ/お前たちは銃器を作り/人を殺す飛行機を作り/爆弾を作る…壁の後ろに隠れ/机の陰に隠れても/仮面の下の素顔はお見通しだよ♪▼第三次世界大戦が懸念される中、戦争ムードをあおり立てる武器商人たち。人目を忍び暗躍する彼らを断罪した。ヒット曲「風に吹かれて」と同じアルバムに収録されたディランさんの代表作である▼アジアを歴訪中のトランプ米大統領。最大の目的は北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止する連携強化である。韓国国会ではきのう「われわれを甘く見るな」とドスを利かした▼北朝鮮問題には米国の力が不可欠だ。しかし一方でトランプ氏は「米国製兵器が日本と韓国を守る」とばかり、戦闘機や潜水艦など大量に売り込んだ▼米の新聞は皮肉たっぷり、トランプ氏を「北の危機に乗じた武器商人だった」と伝え、要求を承諾した安倍晋三首相を「忠実な相棒」と表現したと聞く。“ビジネスの親玉”の抜け目ない一面を見た思いである。

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