【越山若水】ほぼ1年前の米大統領選に敗れ、ヒラリー・クリントンさんは言った。「ガラスの天井をまた打ち破れなかった」。女性の進出を阻む見えない壁が敗因だった、と▼これには異論もあったが、米国が「女嫌いの国」なのは本当らしい。ハリウッド映画を見れば分かる。西部劇を典型として大抵、筋骨たくましい男が活躍する▼合わせ鏡のように「イケてる女」が男の観客を魅了する。「イケてる」は、褒め言葉ではない。セクシーで明るくて、男を気ままにさせてくれる女性のことである▼そんな社会でイバンカさんも苦労しているのだろうか。トランプ大統領の長女で補佐官。実業家であり、3児の母。きのう東京で開かれた国際会議で「もがいている」と語った▼「女性が昇進の遅れを心配せず、母親であることを喜べるような革新的な方法を見つけるとき」。美貌と社会的地位を併せ持つ人の提言は、世界の人々の耳にどう響いただろう▼先日の本紙によると、男女格差を示す国別の順位で日本は114位。女嫌いの米国の49位をはるかに下回り、先進7カ国では最下位に沈んでいる▼これでは面目が立たないということだろうか。安倍晋三首相は、イバンカさんが設立に加わった世界的な基金に約57億円を拠出し、女性起業家を支援するという。男らしい、と歓迎する日本女性がどれだけいるのかと想像を巡らせる。

関連記事
あわせて読みたい