陸上100メートルで9秒98の日本新記録を樹立した桐生祥秀選手。スパイクのアッパーに福井の企業が手掛けた素材が使われている=9月9日、福井県営陸上競技場

 陸上男子100メートルで日本人で初めて10秒の壁を破る9秒98の日本新記録を樹立した桐生祥秀選手(東洋大)が使用したスパイクに、福井県勝山市の織物製造、松文産業(本社同市旭町1丁目、小泉信太郎社長)が加工した素材が使われている。軽量化や走行時のエネルギーロス削減を実現するために採用された新素材。福井県の陸上競技場で歴史的快挙を成し遂げたアスリートの足元を、福井の技が支えていた。

 繊維大手・東レ(本社東京)から加工を委託されている松文産業機能資材部の吉岡隆一部長(59)は「日本人初の9秒台を目指すライバルが多数いる中で、桐生選手が念願の記録を出してくれた。スパイクに我々の作った生地が使われており携わった一人として感激。開発者冥利に尽きる」と喜んでいる。

 スパイクはスポーツ用品大手アシックス(本社神戸市)製。2016年、アッパー(甲を覆う部分)に軽量でバネのような性質を持つテキスタイル(織物)「HL―0(エイチエルゼロ)メッシュ」を初めて採用した。「エネルギーロスにつながる着地時の足とシューズのブレを抑えた」(同社)スパイクとして桐生選手や女子陸上100メートル、200メートル日本記録保持者の福島千里選手に提供を開始。桐生選手は17年4月からの新モデルで記録を樹立した。素足で履く同選手からは、足に吸い付くようなフィット感や軽量化の実現を評価されているという。

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