75歳の女性です。太ももの外側や裏側が激しく痛み、歩きにくくなったり(間欠性跛行)、立っていられなくなったりして、日常生活に支障があります。近くの整形外科では合併型座骨神経痛と診断されました。半年以上前から薬物療法や保存的治療を行っていますが一向に良くなりません。外科的手術は検討すべきでしょうか。(福井市、75歳女性)

 【お答えします】水野勝則・福井総合病院整形外科部長

 ■神経圧迫状況の把握を

 「太ももの外側や裏側が激しく痛み」「日常生活に支障がある」とのことで、さぞお困りのことと思います。既に近医で言われた「合併型座骨神経痛」とは恐らく「腰部脊柱管狭窄症」と「腰椎椎間板ヘルニア」が合併した状態ではないかと推察します。

 これは「硬膜」(神経を包む袋)の圧迫状況を知ることが重要です。「腰部脊柱管狭窄症」の場合、硬膜の後方にある「黄色靭帯」が厚くなり硬膜を圧迫します。一方、「腰椎椎間板ヘルニア」の場合、硬膜の前方にある「椎間板」が後方に突出して硬膜を圧迫します。

 硬膜、黄色靭帯、椎間板のいずれもレントゲン写真には通常、写りませんが、MRIでは状態が明瞭に分かります。

 MRIで硬膜の圧迫を認めても、普通はすぐに手術を行うことはなく、まず薬物療法やブロック療法(局所麻酔薬によって痛みを遮断する)などの保存的治療を行います。

 ■手術は回復のスタートライン

 座骨神経痛が著しく、原因となる明らかな圧迫病変があり、保存的治療の効果が乏しい場合は、手術により根本的に問題を解決するという選択肢があります。手術の方法としては、黄色靭帯や椎間板などの圧迫因子を取り除く「除圧術」が基本です。

 最近では、体の負担を少なくする、内視鏡を用いた方法もあります。腰椎すべり症などで隣り合う椎骨間の不安定性が強い場合には、除圧術に加えて、椎骨間に骨移植を行って最終的に骨をくっつける「固定術」を併用することもあります。

 手術は神経の環境を一夜にして改善できますが、全身麻酔や手術操作に伴うリスクは常に存在します。また、神経の手術はゴールではなく、神経回復のスタートラインですので、手術した瞬間に全ての症状がなくなるわけではありません。そのような手術のリスクや限界について、主治医に十分な説明を受けた上で、最終的にご自分の意志で選択されることをお勧めします。

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