【論説】第195回特別国会が召集され、指名選挙で安倍晋三首相を第98代首相に選出、第4次安倍内閣が発足した。衆院選の結果を見れば、「安倍1強」が「安倍独裁」になりかねない様相だ。現に自民党は野党の国会での質問時間を削減する要求を出すなど、「おごり」としかいいようのない姿勢を示している。

 衆院選での大勝を受け、首相は「謙虚に誠実に結果を出していくことに全力を尽くす」と強調。二階俊博幹事長も「これにおごらず、しっかり対応していく」と述べた。一夜明けて自民側が、特別国会の会期を当初の8日間としたのを12月9日までの39日間に延長し、野党の要求に応えたのは当然だろう。質問時間の見直しも撤回すべきだ。

 安倍政権は、佐藤栄作、吉田茂両元首相に続く戦後3位の長期政権となり、第4次内閣の発足は吉田氏に続き戦後2例目という。ただ、実績で両元首相に比肩したかは疑問符が付くのではないか。特定秘密保護法や安全保障関連法、「共謀罪」法など国論を二分する法案を強引に成立させた手法は多くの批判を浴びた。

 次は悲願の憲法改正に突き進みたいのだろうが、首相は選挙戦ではほとんど触れなかった。「決めるのは国民。国民投票で意思を示していただく」との発言は、安保関連法などで見せた強硬姿勢では国民理解は得られないと分かっているからだ。まずは「1強」のおごりにふたをしてみせる必要があったのだ。

 特別国会では衆参両院の予算委員会を開催する方向で調整が進む。最大の焦点は、世論調査で8割近くが政府の説明に「納得できない」とした「森友、加計学園問題」。憲法に基づく臨時国会の開催要求を無視され続けてきた野党は厳しく追及すべきだ。「丁寧に答えていく」とした首相だが、傲慢(ごうまん)な姿勢を見せれば、すぐさま内閣支持率に跳ね返ってくるだろう。

 新内閣や党三役は全て留任となった。首相が「仕事人内閣」と表した以上、仕事をしてもらわなければ始まらない。

 その新内閣の初仕事がトランプ米大統領の来日だ。北朝鮮対応などで議論を深めるようだが、首相が選挙で「国難」と訴えた中でのゴルフ外交には違和感も覚える。ただ、腹を割って話すことで、圧力一辺倒だけではない、今後の対話の道筋を探る必要がある。

 子育て支援などを充実させる補正予算案の編成にも乗り出し、公約を前倒しして実施する方針という。2年後の消費税増税で借金返済にあてられるはずの増収分の一部を支援に振り替えることで、基礎的財政収支を黒字化する目標時期は遠のく。新たな目標時期を早く示すべきだ。

 安倍政権は2度消費増税を先送りした経緯がある。国民に「痛み」を求めることから逃げたと同時に、成果に乏しいアベノミクスの限界を示すものではないか。世論調査が示すように「ほかに適当な人がいない」ゆえの長期政権では物足りない。
 

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