【論説】国会での質問時間を巡り、自民党が野党の時間を削減して与党分を拡大するよう要求した。これに対し、野党側は、旧民主党政権時代に野党だった自民の要求で現行の与野党「2対8」になったなどとし、「断じて受け入れられない」と反発を強めている。

 質問時間の見直しは、きょう召集される特別国会を延長し、野党が要求する所信表明演説や代表質問、予算委員会の実施との「条件」として挙げてきたようだが、あまりに姑息(こそく)な手法ではないか。衆院選後、安倍晋三首相や閣僚、党役員から政権運営について「謙虚に」との発言が相次いだ。早くも反故(ほご)にしたとしか言いようがない。

 時間配分には法的な規則などはないが、与党には法案の作成段階で議論する機会があるため、旧民主党政権以前は与野党「4対6」などを慣例としてきた。同政権以降「2対8」で推移し、安倍政権でも同様の配分で応じている。

 ただ、今年7月の衆参予算委閉会中審査で与党が「1対1」を要求し「3対7」で折り合った。最大の焦点は「森友、加計学園問題」であり、与党の要求は明らかに野党の追及を弱め、首相の“援護射撃”との狙いは明らかだった。

 首相は、衆院選の結果を受け「まだまだ厳しい視線があると認識し、謙虚に向き合いたい」と話し、さらには「(森友、加計問題について)国会で質問いただければ、丁寧に答えていく」とも述べている。

 その首相が、萩生田光一幹事長代行から配分を見直す考えを伝えられ、「われわれの発言内容を国民は注目している。しっかり機会を確保していこう」と答えたという。「厳しい視線」に「丁寧に答える」という決意はどこへいったのかと言いたくなる。

 そもそも自民は、特別国会の延長に応じる気があるのかも疑わしい。質問時間の配分見直しは単なる揺さぶりなのかもしれない。今後も折につけ、要求していく構えなのだろう。その姿勢は、勝者の「おごり」としか映らない。

 党内の若手議員らに質問の機会が少ないことへの不満が募っているというが、ひたすら政府を優位に導くだけの質疑では、理解は得られないだろう。

 首相は、加計学園の獣医学部新設計画の特区申請を知ったのは、認可が決まった「今年1月20日」と答弁。それ以前に「腹心の友」とする理事長は所管大臣に会っていた事実があるなど、疑念は尽きない。森友学園の国有地問題では、会計検査院が過大な値引きだったことも指摘している。

 与党が国会での実質審議を見送れば、半年以上審議なしが続く。森友、加計隠しも度が過ぎよう。来年1月にも予定される通常国会では予算案や解散で先送りされた重要法案が並ぶ。その先には首相悲願の憲法改正が控える。今回の質問時間要求は、何ら変わらない「1強」体質の表れともいえる。国民は今後の与党の政権運営に厳しい視線を向け続けなければならない。
 

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