【論説】日産自動車に続き、SUBARU(スバル)でも完成車の無資格検査が発覚した。神戸製鋼所による性能データ改ざんなど相次ぐ不祥事に「ものづくり日本」の看板が揺らいでいると言わざるを得ない。他の企業も他山の石とし、社内の慣行、法令順守体制などをいま一度確認すべきだろう。

 スバルの場合、正規の検査員約250人に対して無資格の従業員は数人。いずれも資格を取るために実務を積ませる狙いだったという。だが、正規の従業員の印鑑を借りて押印していた手口は、日産と同様だ。さらにはこうした慣行が30年以上も続いてきたとしている。吉永泰之社長が「社内で『これがまずい』という認識がなかった」と述べたように、日産の不正発覚がなければ見過ごされていたかと思うと、ぞっとする。

 各工程でのチェック体制があり、完成車の段階で不具合が見つかるケースは極めて少ないとされるが、万一1台でも不良があった場合、事故につながる可能性は否定できず、最悪人命にも関わりかねない。消費者が製品に命を預けているとの強い意識があれば、無資格の従業員に検査を担当させなかったはずだ。

 日産では問題の公表後も、なお無資格検査が続いていたのは言語道断だ。経営側が現場を統率できない証しでもあろう。今も出荷停止状態にあり、従業員はむろん、部品を提供する企業などにも影響が出はじめているという。10月初めに電気自動車(EV)の新型車を投入。大々的に掲げたEVシフトの出はなを自ら折った格好だ。

 神戸製鋼の不正は確信犯というほかない。社内調査への妨害が発覚するなど、会社全体にモラル欠如と隠蔽(いんぺい)体質がまん延。業界が策定した品質管理強化のガイドラインを適用せず、最低限の基準とされる日本工業規格(JIS)を満たさない製品を出荷していた。顧客と約束した測定を実施しなかったり、データを捏造(ねつぞう)していたりしたともされ、悪質極まりない。

 かつては、過剰なまでの検査で「高品質」製品しか出回らないようにしてきた。それが日本企業の強さの原点でもあった。不良品を極力減らすために「カイゼン」といった現場の努力が続けられてきた。

 不祥事の背景には効率化や人手不足など現場へのしわ寄せが指摘されるが、要は現場の担い手たちの気概がそがれ、経営側がそれに気付かなかったか、気付こうとしなかったのが最大の要因だろう。経営と現場の乖離(かいり)が漫然と続く中、無理が生じ検査の手抜きやデータ改ざんというひずみとなって現れたのだ。

 英BBC放送は「日本株式会社で何が起きているのか」と題して、安易なコストカットで日本のものづくりの信頼性が揺らいでいると報じた。製造業の劣化が続くようであれば、日本経済は沈むばかりだ。優れた現場力をどう再生するか。経営側は人員増も含め、最新デジタル技術の導入など、現場の負担軽減に向けた投資を考えるべきだ。
 

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