【越山若水】「目的外使用」と聞くと反射的に「禁止」という言葉が思い浮かぶ。当初の目的を逸脱した用途で使うのは好ましくなく、少なくとも事前に「許可」が必要だろう▼しかし時代の変化は想像を超えている。都市部では停止した自動車の時間貸しが行われている。営業マンらが静かな座席で仕事の整理や電話連絡に使うらしい▼とりわけ変貌著しいのがカラオケボックスだという。普通は子を持つママ友が集まり、お気に入りの歌を存分に歌う。食事もできるし、誰にも気兼ねしなくていい▼ところが最近は、映画やコンサート映像を楽しむ恋人同士、ビールを飲みスポーツ中継に熱中する若者、スカイプで英会話を勉強する会社員、パーティー前の勝負化粧をする女性など多種多様である▼カラオケは単なる歌う場所ではなく、飲食サービスの提供や音響・防音設備が整った便利な場所として評価が高い。本来の使用目的を超えた新しい空間賃貸業と呼べそうだ▼今や「時間資本主義」時代。消費者は時間と空間のすき間を有効に使う志向が強いという。経営コンサルタント、松岡真宏さんらの著書で教えられた▼観光客を一般住宅に有料で泊める「民泊」もその一つ。主婦が空き時間に家事や育児を代行したり、空き家をサークル活動に貸し出す新ビジネスも始まっている。どうやら「目的外」にこそ可能性が潜んでいる。

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