リオデジャネイロ・パラリンピックで銅メダルを獲得した後の喜びや葛藤を語る辻選手=28日、福井市のアオッサ

 昨年のリオデジャネイロ・パラリンピックの陸上女子400メートル(切断などT47)で銅メダルに輝いた辻沙絵選手(23)によるトークセッションが28日、福井市のアオッサ県民ホールであった。重圧をはねのけ、ことし7月の世界選手権で再び銅メダルを獲得した経験に触れ「逃げなかったことにすごく意味があった。たとえ結果が悪くても、挑戦することに価値がある」と語り掛けた。

 辻選手は北海道出身。生まれつき右腕の肘から先がないが、健常者に交じってハンドボールで活躍し、茨城・水海道二高時代に高校総体や国体に出場。日体大進学後も主力として活躍し、恩師の勧めで悩んだ末に15年3月から障害者陸上を始めた。

 「苦しい、きつい、気持ち悪いの三つの言葉しか出てこなかった」という猛練習の末に立ったリオパラリンピックのトラックは「地響きするくらいの歓声で、自分の心臓の音しか聞こえない。何てすてきな場所で走れるんだろうと感激した」と振り返った。

 だが、転向1年半での銅メダル獲得に環境が一変。帰国後は道行く人々に声を掛けられ、NHK紅白歌合戦にもゲスト出演する人気者となった一方で、なかなかアスリートとしての生活に戻れず、周囲の期待と裏腹に焦りばかりが募っていった。

 7月の世界選手権は「走れない自分を受け入れられない怖さを感じ、出たくない」ほどの重圧を感じていたが、会場のロンドンの、障害者がアスリートとして認められ、尊敬視される空気に「ここでもう一度輝きたい」とモチベーションを取り戻した。

 最後に「次の挑戦は東京パラリンピックで金メダルを取って、国歌を流すこと。選手として日本の素晴らしさを発信し、本当の共生社会へ向かう手助けができたら」と語った。

 県内のロータリークラブ(RC)会員が年1回集まり交流を深めるインターシティミーティング(福井北RC主管)のプログラムの一環で、会員約600人が聴講。日体大陸上部パラアスリート監督の水野洋子さんの質問に答える形で話した。

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