激しく燃え上がる店舗など=28日午前0時ごろ、福井県あわら市温泉3丁目

 6棟を全焼した芦原温泉街の一角は建物の密集地。炎は瞬く間に広がり、火の粉が舞った。1956年に旅館16軒、民家300軒以上を焼いた「芦原大火」を経験した高齢の住民たちは、大火が頭をよぎった。

 火元の店舗兼住宅の竹内正文さん(81)は「気付いたときには激しく燃えており、家族4人で逃げ出すので精いっぱいだった」とぼうぜんとした表情。「バチッバチッ」という音で火事に気付いた近隣女性は「建物が密集しているのですぐ燃え広がると思い、何も持たず逃げた」と焼け落ちる自宅を見つめ肩を落とした。区長の手塚和典さん(73)は「風が強かったらもっと延焼していた。住民にけががなくてよかった」と話した。

 61年前の芦原大火を経験している高齢住民たちは、不安そうに消火活動を見守った。当時小学生だった男性(70)は「火の勢いがすさまじく、大火が頭をよぎりぞっとした」。大火で自宅が全焼した別の男性(74)は「大火は朝だったが、今回は夜だったので炎が数倍大きく見え、なおさら恐怖を感じた」と話した。

 芦原温泉街では、1982年にも材木店から出火し旅館など12棟を焼き、2010年には芦原温泉芸妓(げいぎ)協同組合の稽古場と事務所が全焼している。現場近くにある屋台村に店を構える坂井市の50代男性は「旅館は燃えていないので温泉街のイメージダウンにはならないだろう」との見方を示しつつも「芦原は火事が多い印象がある。原因をしっかり解明してほしい」と注文した。

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