6棟が全焼した火災現場=28日午前10時53分、福井県あわら市温泉3丁目(日本空撮・小型無人機ドローンで撮影)

 炎が高々と建物を包み込み、爆発音が何度も温泉街に響いた。「めちゃくちゃ熱かった」「これは本当にやばい」。27日深夜から翌日未明にかけて、福井県あわら市の芦原温泉街で起きた火事。近くの旅館に宿泊していた約100人の温泉客は着の身着のまま外に駆け出すと、燃えさかる炎と押し寄せる熱風にたじろぎ、恐怖におびえた。

 ⇒【画像】音を立て、激しく燃える火事現場

 宴会が終わり電気を付けたまま寝ていると、いきなり真っ暗になった。「近くで火事が発生しました。玄関に集まってください」。大阪からの団体客ら約100人が宿泊していた、現場から道を挟んで北東側にある老舗旅館「つるや」は出火直後に停電。館内アナウンスに促され、医師和田英樹さん(53)=京都府=は浴衣のまま外に出ると強烈な熱風にさらされた。「炎はガスコンロのような勢いだった。ものすごかった。身の危険を感じた」と炎に包まれた建物を見つめた。

 別の男性客(45)もはだしで飛び出した。「出た瞬間猛烈な熱さが襲い、規制線まですらも近づけないほど。旅館に燃え移りそうで、これはやばい、死人がでるかもと思った」と話した。

 50代女性は「パチパチという火花と、ドンという爆発音が聞こえた」。延焼の危険がないとの消防の判断を受け、館内に戻った時には午前1時を過ぎていた。

 「炎はうちの建物より高く、火の粉は7階建ての別の旅館の寮の上まで達していた」と、つるやの平山泰弘社長(61)は出火直後の様子を振り返る。福井地方気象台によると、28日午前0時は三国で南東の風2・3メートル。平山社長は「避難誘導でお客さまを守ることができてほっとしている」と胸をなで下ろしつつ、「風向きが少しでも南寄りで、少しでも強かったら、うちに燃え移っていたはず。そう思うと…」と声を震わせた。

 つるやの北隣の「べにや」では約20人をロビーに避難誘導した。

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