【論説】本年度の県ボランティア作文コンクールは、今回も小中高校生から一般まで、さまざまな体験の中での気付きや喜び、感動などをみずみずしい感性でつづった力作がそろい、ボランティア活動の広がりや深化、未来への期待を大いに感じさせてくれた。

 一般の部の最優秀作は、ボランティアを受ける側の心情が切々とつづられている。作者は視覚障害のある夫に連れ添う妻で、声楽を生きがいにしている夫が「楽譜の点訳」をボランティアに頼っている。素早く大量の点訳をしてくれる懸命な活動に「本当に本当に、頭が下がるばかり」と感謝の念を伝えている。

 この作者はボランティアの理念が「若い人たちを中心として(中略)スポンジに沁(し)み込む水のごとく、あらゆる場面に浸透しつつあるという事実を、心から喜びたい」とも記す。

 小学生の部最優秀作からはその「浸透」ぶりがうかがえる。作者は1年生。母親の勧めで、病気のため髪の毛を失った子どもに、自分の髪を贈ることを決意。くじけそうになるが、母親から髪をもらった子どもの感謝の手紙を知らされ続行する。切った髪を封筒に入れポストに投函(とうかん)した時の思いを「つぎはもっとながくかみをのばして、またきふしたいです」と記した。

 ボランティアは自分のできる範囲で十分に成せることを伝えたのは、中学生の部最優秀作だ。音楽に打ち込んでいる作者は、高齢者施設から演奏依頼を受ける。最初は気乗りしなかったものの、本番ではお年寄りたちが自分たちの演奏に合わせ、うなずいたり首を揺らしたり次第に打ち解ける。ラストでは演奏に合わせ大合唱になり、作者は達成感と感謝の気持ちでいっぱいになったという。体験を基にボランティアについて深く掘り下げている点も高評価につながった。

 高校生の部最優秀作は、点字ブロックを確認したいという視覚障害の人を案内した際の出来事で、単に点字ブロックをたどればいいと思っていたのが、想像以上の大変さを実感。「自分で自由に行きたいところに行けるように協力できることこそが大事」との気付きは、一般の部最優秀作の「受ける立場の人々が、日々、前向きに、にこやかに心充(み)たされて過ごすことが、ボランティアの尊い意義」と重なり合う。

 ボランティア作文コンクールは昨年、20回の節目を迎えた。2014年の規定枚数増で「読み応えや深みのある作品が増えた」(県社協)という。ただ応募は減少傾向にある。学校の掃除や地域のごみ拾いなど活動は多種多様だ。汗した体験を文字にし、心の「宝物」として育んでほしい。

 来年は福井国体・障害者スポーツ大会がある。県民一人一人がさまざまな分野で大会を支えることで、ボランティア精神の全県的な広がりにも期待したい。

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