【越山若水】人間が欲得ずくだというのは、洋の東西を問わず、共通した認識になっている。今も昔も幾多のスキャンダルが発覚し、痛い目に遭った事例は枚挙にいとまがない▼日本でも欲の皮が突っ張った企業の不正が相次ぎ、批判を浴びている。自動車メーカーでは日産に続き、SUBARU(スバル)でも無資格検査が見つかった▼神戸製鋼所ではアルミや鉄鋼などのデータ改ざんが判明し、影響は海外にまで広がっている。まさに「メード・イン・ジャパン」の信頼を失墜させる不祥事である▼教訓を垂れるわけではないが、日本の昔話「腰折れ雀(すずめ)」を紹介しよう。ケガをしたスズメを介抱したお婆(ばあ)さん、お礼にヒョウタンの種をもらう。植えて実がなると、中からお米や金銀財宝が出て来た▼それを聞いた隣のお婆さん、スズメの腰をわざと折り介抱した。もらったヒョウタンからヘビやムカデがはい出し、刺されて死んだという。「宇治拾遺物語」の所収である▼完成車の出荷前検査は、いわば「性善説」に基づくメーカー委任制度だ。ところが日産は発覚後も不正をやめず、スバルは30年前から恒常化していた▼「世の中に盗人の種は尽きまじ」と言い放った大盗賊がいた。確かに欲得と悪徳は絶えないけれど、「性悪説」を前提にした社会も寂しい限り。「悪因悪果」の警句の通り、悪事は必ず報いを受けると知るべし。
 

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