EVなど環境対応車の需要拡大に伴う戦略を話す茂苅雅宏社長=福井市白方町の田中化学研究所本社

 国内外の自動車メーカーが競って開発し、27日に開会した東京モーターショーでも主役となっている電気自動車(EV)。田中化学研究所(本社福井市)はEVやプラグインハイブリッド車(PHV)にも使われる、繰り返し充電できる「2次電池」のプラス極(正極)の材料を主力製品とする。環境規制の厳格化に伴い世界的に需要拡大が見込まれる中、今後どのような戦略を描くのか。今年6月に就任した茂苅雅宏社長(65)に聞いた。

 ―欧州や中国でガソリン車の生産・販売停止に向けた動きがあり、国内の自動車メーカーもEVの共同開発で提携を進めている。環境対応車の普及が加速しそうだ。

 「世界の車載用リチウムイオン2次電池の市場は、2025年には6兆円を超え、15年の7倍に拡大するとの予測がある。パソコン1台に使われる2次電池の正極材料は約100グラムなのに対し、EV1台に使われるのは千倍の約100キロだ。追い風を実感している。当社の正極材料の販売数量は3年前、パソコンや携帯電話などの民生用が6割強、車載用が4割弱だったが、年々差が縮まっている。数年後に逆転するだろう」

 「ただ、この追い風は足元の業績には直結していない。取引先の各電池メーカーが現在、次世代のEVやPHVにどのような2次電池を積むのか技術開発を進めており、当社にも引き合いが来ている段階だ。電池メーカーと協力して開発を進め、製品化につなげたい。これからは総花的な開発ではなく、選択と集中を進め、環境対応車を中心に人員と資金を投入する」

 ―技術面の強みは。

 「EVの電池性能には容量、寿命、安全性、コストと四つの要素がある。正極材料はニッケル、コバルト、マンガンなどを配合して作るが、例えばある材料を増やすと容量は高まる半面、安全性は低くなるということがある。全体の比率を最適化し、課題を克服していくのがノウハウだ。ミクロン単位で粒子の大きさを調節し、均一性や安定性を保ちながら容量を拡大する工夫もある」

 「こうした取り組みの成果で、正極材料の性能は上がってきている。EVの走行距離が以前に比べて延びているのは、電池の性能向上が寄与している。中でも正極材料が大きな役割を果たしている」

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