生活が苦しく「暴力団は思っていた世界と全然違った」と話す元組員=8月、福井県内

 福井県暴力追放センターが設立から25年を迎えた。20日には県内二つの暴力団事務所の使用を禁止する福井地裁の仮処分決定を勝ち取るなど、県警、弁護士などと連携しながら、さまざまな形で暴力団の排除に取り組んでいる。2011年の県暴力団排除条例施行を機に、生活が苦しくなった組員から組織を離脱したいという相談が増えてきており、「究極の暴排」とされる元組員の社会復帰の支援にも力を入れている。ただ、本人に働く意欲がない、受け入れる企業が少ないなど課題は多い。

 「思っていた世界と全然違った」。県内の40代元組員は、苦しかった暴力団での生活をこう振り返る。

 高級車に乗り、派手な洋服に身を包む、映画で描かれるような生活に憧れていた。しかし、待っていたのは肉体労働のアルバイトの日々。日当の半分近くを組に吸い上げられ、収入は月に10万円がやっと。その中から、組への上納金としてさらに月数万円を搾り取られた。家賃を支払うと手元にはほとんど残らず、親や知人からの借金に頼った。

 辞めたかったが組織には言えず、警察に逮捕されたとき知り合った弁護士に組を抜ける意思を伝えた。弁護士が、センターや暴力団対策に詳しい別の弁護士に相談。警察も協力し、組長から離脱承認書を取り付けた。

 元組員を受け入れている県内の会社で正社員として働くようになった。肉体労働で体力的には厳しいが、貯金に回せるだけの収入はある。「もうお金に困るのは嫌。普通の生活が一番」というのが率直な思いだ。

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