【論説】自民党の大勝で終わった衆院選を踏まえ、「安倍1強政治」はますますごう慢になっていくのだろうか。選挙後の特別国会は11月1日に開会、会期を8日までとする予定だが、安倍晋三首相は所信表明演説を行わない見通しだ。

 6月に野党が臨時国会を要求したが拒否。本格的な国会審議はゼロという状況が続く。だが、学校法人「森友学園」問題で改めて疑義が浮上した。徹底解明へ政府、与党は閉会中審査でなく、特別国会や臨時国会での実質審議に応じるべきだ。逃げは許されない。

 言うまでもなく、首相の所信表明演説は、政権の基本理念や政策の重要性を説明するものである。首相指名に続く演説に基づき、各派による代表質問が行われるのが通例だ。

 まして野党要求から3カ月も放置の末、やっと開いた臨時国会は冒頭解散。野党側が実質審議の場を求めるのは当然である。

 日程的な問題としては首相があまりにタイトなことだ。5〜7日にトランプ米大統領が来日。10日からはベトナムでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議やフィリピンでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席。その後は年末の予算編成や税制改正を控える。

 自民党は「物理的に困難」と言い訳するが、果たしてそれだけだろうか。

 審議に応じれば森友、加計学園問題を追及されるのは必至だ。首相の不意打ち解散は「疑惑隠し解散」との批判が強い。当初は選挙後の臨時国会開催も検討されたというが、大勝で「国民の理解を得た」と強気の姿勢に転じたようだ。

 しかし、首相は23日の選挙後会見でも「(森友、加計学園問題について)国会で質問いただければ、丁寧に答えていく」と述べている。しかも、米大統領の訪日など厳しい日程を熟知しながら解散を強行したのは首相自身である。「身勝手」とのそしりは免れまい。

 森友、加計学園問題では9月下旬の共同通信社世論調査で78・8%が政府説明に納得できないとした。その不信の核心は、官僚の「忖度(そんたく)」疑惑である。

 森友学園に対し、ごみの撤去費分として国有地が約8億円値引きされていた問題で、会計検査院が疑義を突き付けた。撤去費は2億〜4億円程度で済み、値引率は最大約6億円過大と試算したことが判明した。それに加え、検査院は関連文書が破棄されるなど管理問題も指摘している。売却に関わった財務省、国土交通省の責任が厳しく問われることになろう。

 曖昧な説明を繰り返してきた首相だが、森友学園が計画した小学校の名誉校長に首相夫人が一時就いており関係が深い。官僚が首相サイドの意向を忖度したのではとの疑惑は一層深まったといえる。

 また首相の「腹心の友」が理事長を務める加計学園の獣医学部新設計画を巡る「総理の意向」疑惑も解明が不十分だ。国会で説明責任を尽くさずして国民の信任を得ることはできない。
 

関連記事
あわせて読みたい