「親孝行」と書いた色紙と紫色のグラブを手に喜ぶ中央大の鍬原拓也投手=26日、東京都八王子市の中央大多摩キャンパス

 「小さいころから一人で育ててくれた母親に一番に報告したい」。26日のプロ野球ドラフト会議で、巨人の1位指名を受けた福井・北陸高出身で中央大の鍬原拓也投手(21)は、母佐代子さん(48)=奈良県御所市=と約束した夢をかなえた。母子家庭で経済的に厳しかったが、「野球を続けられたのは母のおかげ」と感謝し、プロで活躍して恩返しすることを誓った。

 鍬原投手は今年、グラブの色を青から紫に変えた。「母が好きな色」でプロに入るチャンスの年に懸ける思いを表した。「親孝行」の刺しゅうも入れた。両親は3歳のころに離婚。生活は決して楽ではなかった。小学3年で野球を始め、中学時代は一つのグラブを何度も修理して使っていたという。

 佐代子さんも応援する中、中学3年の夏に“騒動”が起きた。奈良の橿原磯城リトルシニアでエースを任され、全国大会出場を決めた後、野球を辞めようとした。「野球をやる意味が分からなくなって…。友達と遊ぶ方が楽しかったから」。監督らとの話し合いで佐代子さんは「続けてほしい」と泣きながら言った。「プロ野球選手の夢を諦めずに頑張ってほしかった」。初めて母の涙を見た鍬原投手は「本気でやるならプロを目指す」と決心した。

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