台風の影響で屋根に大穴が空くなどの被害が出た文殊山山頂・大文殊の本堂=25日午後0時45分ごろ

 23日にかけて福井県に最接近した台風21号の影響で、福井・鯖江市境の文殊山(標高366メートル)山頂にある本堂が、屋根に大穴が空くなど半壊した。安置されていた本尊は無事で、住職や常連の登山愛好家らが協力して中腹にあるお堂に移動した。開山1300年の節目に厄災に見舞われ住職は「何とかしなければと思うが、全く見通しは立たない」と肩を落としている。

 徳毛祐彦住職(71)によると23日昼ごろ、登山者から本堂を撮影した写真が持ち込まれ被害を知らされた。この日は登山道の倒れたスギの撤去が終わらず、24日に愛好家ら3人と改めて入山した。

 本堂は13平方メートルほどで屋根の後ろ半分の瓦や板が飛ばされ、大きな穴が空いた。ただ、本尊の文殊菩薩像は厨子(ずし)に入っていたこともあって無傷で雨による被害もなかったという。本尊は、山頂にいた登山者10数人にも協力を得て、施錠ができる中腹の小文殊(標高約300メートル付近)の室堂まで運搬車で運びこんだ。日清戦争から帰国した人たちによる絵馬などは隣接する避難小屋に納めたという。

 徳毛住職によると、強い北風が長時間続いたのが原因とみられるという。山頂付近は風を遮る樹木などが少なく、現在の本堂も強風で大破し明治初期に再建。140年ほど経過し老朽化が進んでいた。

 25日に山頂を訪れた鯖江市の女性(65)は「500回近く登っていて、古い本堂は趣があってよかった。痛々しくて言葉がない」と悲しんでいた。

 同山は、717(養老元)年に泰澄が開いたとされ、自らが彫った文殊菩薩を祭ったことから名付けられたとされる。白山などとともに「越前五山」と称され、白山信仰の拠点となっている。本尊は開山1300年を機に今年3月、新調したばかり。泰澄自作とされ、鎌倉時代のものとみられる元の本尊は、盗難などを防ぐために寺に下ろしていたため、難を逃れた。

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