【越山若水】ノーベル賞ウイークを過ぎて、今更の感は否めないが、きょうはその国際賞を創設した当人、アルフレッド・ノーベル(1833〜96年)のことを話題にしよう▼スウェーデンの化学者でダイナマイトを発明したことはご承知だろう。鉱山発掘や土木工事に利用され、特許取得で世界の富豪入りを果たした実業家でもある▼折しも欧州にはナショナリズムが台頭し、クリミア戦争や普仏戦争が勃発。ダイナマイトの使用は増え、ノーベル自身も高性能火薬や大砲の開発・製造を手がけた▼ノーベルの兄が死亡したとき、フランスの新聞が本人と間違えて「死の商人、死す」と報道。不名誉な記事を目にしたノーベルは死後の評判を気に掛け、賞の設立に資産遺贈することを決めたという▼決断に至るには紆余(うよ)曲折があったようだ。自らを正当化するため友人に手紙を送った。そこには、強力な兵器は戦争の「抑止力」になりうる―という考えが披露されていた▼さて今年のノーベル平和賞はNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が受賞した。7月の核兵器禁止条約採択に対する貢献が評価された▼しかし唯一の被爆国、日本は米国の「核の傘」に遠慮してか採択に反対した。ノーベルは間違いを悔い改めたが、日本はなお「核が抑止力になる」という幻想に縛られている。本日から「国連軍縮週間」が始まる。

関連記事
あわせて読みたい