【論説】第48回衆院選は、自民、公明の圧勝となった。自民党は定数の過半数以上を獲得。連立与党で絶対安定多数(261)を確保した。小池百合子都知事が代表を務める希望の党は伸び悩み、野党第1党には、枝野幸男代表らが立ち上げた立憲民主党が躍進しそうだ。

 安倍晋三首相は来年秋の自民党総裁選での3選、さらには2021年までの長期政権を視野に入れた政権運営に臨むことになる。ただ、今回の自民勝利は、7割を上回る小選挙区で野党候補が乱立するなど、政権批判票の受け皿が分散したことが大きな要素だ。

 「まっとうな政治」を掲げた立憲民主の躍進は、政権への批判が一定程度あることを示している。推定投票率も低く、政権への積極的支持とはいえないだろう。首相には謙虚な政権運営が求められる。

 ■県内の課題に注力を■

 県内小選挙区の1区稲田朋美氏、2区高木毅氏は、「保守王国」の強力な組織選挙で議席を守った。稲田氏は日報隠蔽(いんぺい)問題など、高木氏は週刊誌報道といった逆風もあったが、14年の前回選挙の得票と同程度の支持を集めた。県民の期待の大きさを受け止めてもらいたい。

 比例区では自民前職で名簿1位の山本拓氏が早々に当選。前職の助田重義氏は落選したが、希望からの2区前職、斉木武志氏が野党勢力として復活当選を果たした。県内の衆院議員は4人を維持した。

 希望の1区新人鈴木宏治氏は、党勢が失速する中、挽回を果たせなかった。共産新人の1区金元幸枝氏、2区猿橋巧氏は、前回得票を上回った。

 県内では北陸新幹線小浜ルートの早期着工・完成、原発政策といった独自の課題に加え、全国的にも深刻化する人口減少や空き家、所有者不明の土地、中小企業などの人手不足、農林水産業の振興など、課題は山積する。新選良には停滞する地方創生策の底上げにも尽くしてもらいたい。

 ■希望「排除」で失速■

 今回の選挙は、小池氏の新党結成で一気に「政権選択選挙」に傾いたが、民進出身者の合流では「排除」の論理を振りかざし、自らの出馬も見送った。「小池劇場」で主役だったはずの本人が、いつの間にかヒール役に回った感が否めず、主役の座を立憲民主に奪われた格好だ。

 8月の内閣改造後の世論調査で、安倍内閣の不支持理由に「首相が信頼できない」が56%で最も多かった。逆に44%と支持理由の最多に上ったのが「ほかに適当な人がいない」だった。まさに今回の衆院選の構図ではなかったか。

 9月の世論調査では、望ましい衆院解散・総選挙の時期について、「任期満了に近い来年秋から冬」が42%余。「年内」と答えたのは15・4%しかなかった。そんな中、首相は国民の声を無視し、今なら勝てるとばかり唐突に解散に打って出た。大義なき「自己保身解散」だった。

 ■「みそぎ」許されず■

 ただ、積極的支持ではなかったにせよ、安倍政権は次の4年間を国民から託されたことは事実だ。

 首相は、維新に加え希望という改憲勢力を得たことで、悲願の憲法改正に向かって突き進もうするのだろう。だが、選挙戦では多くを語らなかった。「決めるのは国民。国民投票で意思を示していただく」と述べた以上、丁寧な議論は欠かせない。

 解散で先送りされた働き方改革関連法案や受動喫煙対策などの健康増進改正案といった重要法案が待ったなしの状況だが、拙速に数の力で押し通すような姿勢は許されない。

 「国難」と称した北朝鮮情勢を巡っては、11月早々にトランプ米大統領が来日する。首相は軍事力行使も辞さないトランプ氏の姿勢を全面的に支持し、圧力一辺倒に注力。経済制裁の一方で、対話の窓口を模索すべきだ。首相には米政権に自重を求める責務もある。

 選挙で森友、加計学園問題について首相は説明を尽くしたとは言い難い。圧勝でみそぎを受けたという姿勢ならば「1強」のおごり体質そのままと言わざるを得ない。選挙結果に対し首相は「厳しい視線を認識し、勝利に謙虚に向き合い、仕事で結果を出していく」と述べた。その覚悟を形にすべきである。
 

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