ゆるい哲学の参加者たち=福井県鯖江市の文化の館内の喫茶室

福井県鯖江市の文化の館(鯖江市図書館)、その中に併設された喫茶室に集う人々。老いも若きも、男も女も、ビジネスマンも大学生もひとつのテーブルを囲む。このあと、脳がヒートアップし眠れなくなるかもしれない、と知ってか知らずか、みな振る舞われたコーヒーをすすり、それが始まるのを待っている。その会は「ゆるい哲学」。いまいち聞き慣れないタイトル。「哲学」はまだわからないでもない。ただし「ゆるい」という形容詞がつけば話しは別だ。「ゆるい」という言葉がもつ印象と「哲学」という言葉がもつそれは、まったく正反対のものに思えるからだ。

この一見、珍妙な「ゆるい哲学」はというと、近年流行りつつある「哲学カフェ」をゆるパブリックのメンバーが独自に発展させた新しい試みである。「哲学カフェ」は、一般市民にも哲学の面白さや楽しさを知ってもらおうと哲学者たちがひろめた取り組みで、お茶を飲みながら話ができるような空間に若者からお年寄りまで様々な世代の市民が集まり、日常生活の身近な話題やテーマをきっかけに「問い」をつくり、それを参加者同士で対話しながら深めていくというものである。

しかし、身近な話題やテーマから「問い」をつくる、というのは簡単そうでなかなかできないことである。運営者は、回を重ねるごとにどのような話題やテーマを準備すればよいか悩むようになるし、政治や宗教の問題などになると、扱うことにも慎重になりがちだ。事前の情報集めだけでもかなりの時間がかかってしまうし、参加者における話題に対する知識量の差も気をつけなければならない。

誰でも一緒に楽しめる分かりやすいテーマでありながら、そこから「問い」をつくりやすい題材はないものか? そこで注目したのが、「絵本」である。

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