福井市の繁華街で客待ちするタクシー。客足は減少傾向にあるという=10日午後8時半ごろ、福井市順化2丁目

 衆院選が公示された。朝の出陣式に駆けつけた支持者たちは陣営カラーの鉢巻きやジャンパーを身に着け力強く拳を振り上げた。昼の市街地には、候補者の名前を連呼する選挙カーを横目に、変わらぬ日常を過ごす主婦やサラリーマンたち。景気の影響を受けやすい夜の繁華街では、政治の力にすがりたい思いがため息とともにこぼれた。「わが候補を国政に」「関心なくはないけれど…」「何とかしてくれないか」。景気、子育て、働き方、原発…。さまざまな思いが交錯しつつ、国政を左右する福井県民の選挙戦が始まった。

 ■「若い人にお金回して」

 公示日の福井市の通称・片町は、平日ということもあり酔客は少なかった。「昔に比べれば客足はめっきり減ったね」。タクシー歴30年以上の男性運転手(69)は片町周辺を運転しながらぽつり。「バブルのころは1日4、5万円の売り上げはあったけど、今は1万円くらいかな」

 ただ、今年に入り景気の回復を感じ始めている。「サラリーマンから『領収書切って』と言われるようになった。アベノミクス効果かな。久しぶりにチップももらったよ」と笑う。

 投票には必ず行くという。「でも、政治家はみんないいかげんなこと言ってるよ。消費税上げないって言うけど、それでどうなるの? 若い人にちゃんとお金を回さなきゃ、片町は廃れちゃうよね」

 全盛期に20人の従業員を抱えていたスナックママ(58)は「景気は全然良くならない。特に地方は。ちょっと良くなっても、人も企業も貯蓄に回すし、若い世代はお金のかからない遊びに向かうしね」。たばこをくゆらせながら、諦め顔を見せた。

 「自民党は勝つための解散。野党も勝つために合流」と思う。誰が現状を変えてくれるのか、まだ見極められない。

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