村上憲郎さん

 今は、あらゆるものをネットワークでつなぐ「IoT」や人工知能(AI)、ビッグデータの時代だ。地方の中小企業でも革新的なアイデアさえ思い付けば、チャンスは十分にある。

 電車や車の中からでもスマートフォンやタブレット端末などでネットにアクセスできる「モバイルインターネット」の全盛を迎え、今後は身に着ける情報端末「ウエアラブル」がさらに進んでいく。現在は、腕時計型のスマートウオッチがはやっている。肌に密着しているので体温や血圧など「生体信号」を取得でき、健康や運動状況をリアルタイムに把握できる。

 繊維産業で有名な福井なら、例えば今後、アパレルやスポーツウエア業界から、センサーが織り込まれた素材が要求されるのではないか。素材を手掛けている福井だからこそ、ウエアラブルの時代に生かせる知恵はあるだろう。

 高齢社会も進み、ウエアラブル端末を着けている老夫婦の血圧、脈拍などを、遠隔地に住む親族らがリアルタイムに確認する時代になる。

 ネットを使って、電気機器や家、工場、オフィスの消費電力をリアルタイムに「見える化」したり、不要不急な電気を使わないようにしたりと、いわゆる電力網を賢くする「スマートグリッド」も今後普及する。 2019年ごろに日本の電力網はスマートグリッド化され、電気機器はネットにつながるのが当たり前になる。スマートグリッドがIoTを切り開き、全ての事物がネットにつながることで、さらにビジネスチャンスが生まれる。

 IoTを使いこなした製品、サービスを思い付いたら、一気に頭角を現すことができる。だからこそ、事業者は自身のビジネスを見つめ直してほしい。

 製品を改良する上でヒントになるのはビッグデータだ。製品の使われ方などに関するデータを集め、ぜひ統計解析をしてほしい。経験と勘で得ている情報を、科学的根拠で支えていく癖を付けることが、IoT時代に必要となる。

   ×   ×   ×

 1947年、大分県生まれ。京大工学部卒業後、日立電子に入社し、ミニコンピューターシステムのエンジニアになる。その後複数の米国系IT企業の日本法人代表を歴任し、2003年4月、グーグル米国本社副社長兼グーグルジャパン社長として同社に入社。09年に名誉会長に就任。11年に退任し、村上憲郎事務所を開設。

関連記事
あわせて読みたい