グリルあまからが開発し特許を取得した多段積みできる持ち帰り用の食品梱包容器=福井市の福井商工会議所ビル

 創業83年の洋食店「グリルあまから」(福井市西谷3丁目、野坂昌之社長)は、積み重ねて一度にたくさん持ち運べる、使い捨ての食品梱包容器を開発した。アフタヌーンティーセットのような立体的な形でデザイン性に優れ、特許も取得した。消費税増税を控え、持ち帰り専門店に業態転換すると見込まれる飲食店や、拡大する弁当市場をターゲットに需要を取り込みたい考えだ。

 開発した「OKAMOCHI」は、出前に使われる岡持ちから名付けた。高度経済成長とともに会社や自宅に料理を届ける出前が飲食店のサービスの一つとして定着したが、近年はテークアウトできる安価なファストフード店や24時間営業のコンビニの台頭により、食器の回収など配達コストがかかる出前を辞める店舗が増加しているという。

 2019年10月には消費税率が10%に引き上げられる予定で、野坂社長は個人経営の飲食店は経営がさらに圧迫される事態が起こり得るとみる。ただ、軽減税率制度の導入により、弁当や総菜などの持ち帰り商品は8%に据え置かれる予定で「持ち帰り専門店に業態転換する店が激増する」と予想する。

 野坂社長は新たな市場を見据えた容器の開発に着手。既製の弁当箱やオードブル容器は平皿ばかりで「料理を変えても代わり映えしない」ため、ティースタンドに軽食や菓子を載せた皿を重ねて喫茶を楽しむ英国発祥のアフタヌーンティーをヒントに、「使い捨て岡持ち」のデザインにたどりついた。

 商品は食品容器が載る底板を設け、複数の開口部がある側板を備える。容器は固定されるため、複数積み上げても崩れる心配はない。印刷業のサカエマーク(福井県鯖江市)が製造する。同社の酒井智康社長は「パッケージそのものがブランド化につながり、持ち歩く人が広告塔にもなる」と展望する。

 メイン、オードブル、サラダといったコース料理の持ち帰りや、ギョーザや唐揚げをタワー状に盛りつけるなどの使用法を提案する。特許の使用料を収益にするモデルで、1店舗当たり年間1万2千円で設定。既に大手総合スーパーからの引き合いもあるという。

 野坂社長は「新しい持ち帰りの文化をつくりたい。訪日外国人にも伝統の岡持ち文化の発信を兼ねた商品アピールができる」と話している。

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