介護の現場では、老老介護や2025年問題に向けた人手不足への不安を抱えている=福井市内の特別養護老人ホーム

 「介護している時は、まともに夜ご飯を食べた記憶がない。お茶やコーヒーだけ飲んで、寝ずに気を張っていた」。福井市の安永松子さん(69)は、アルツハイマー型認知症の義母と約15年間、在宅で向き合った。

 同居していた自宅から少し離れた場所で、夫と電子機器工場を営んでいた。認知症が分かった当時、始まったばかりの介護保険サービスを利用。仕事が忙しい時はデイサービスやショートステイなどでやりくりしながら、ほぼ1人で介護した。

 義母の状態は要介護4まで進み、徘徊やトイレの失敗があり、夜も目を光らせた。安永さんの体が悲鳴を上げた。不眠症になり、ストレスによるかゆみ、高血圧にも悩まされた。特別養護老人ホームを探して、10施設近く回ったが、なかなか空きはなかった。空きが出ても条件が合わず、あきらめた時もあった。

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 介護保険サービスで原則1割だった自己負担は一部2割に引き上げられ、さらに一定の所得のある人は3割にする方針が示されている。自助を重視する流れが強まり、家族の負担も増している。

 安永さんは、市介護者家族の会(かたらい会)の会長を務め、悩みを抱える仲間の相談に乗っている。「介護のサービスをうまく使えるかどうかは、地域包括支援センターやケアマネジャーに左右される。でも、行政からどんどん仕事が回されて、みんな忙しそう。利用者やその家族とゆっくり向き合う時間が限られている」と語る。

 安永さんは、今も1人暮らしの実母(94)の世話をしている。要支援2で、身の回りのことは自分でできるし、近所の人たちも何かと見守ってくれている。それでも、困ったことがあると安永さんの携帯電話が鳴る。自分の老後はまだ描けない。「自分の生活は自分で守るしかない」と漏らした。

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