【越山若水】10月1日から7日は「全国労働衛生週間」である。労働者の健康確保と職場環境の改善を図るのが目的で、68回目を迎えた今年のテーマは「働き方改革」だという▼2016年度の労災請求件数をみると、過重な仕事が原因の脳・心臓疾患が825件。強いストレスなどで発病した精神障害はその2倍の1586件に達した▼同年の自殺者は約2万1千人と7年連続で減少したものの、うら若き新入社員が過労自殺する報道が後を絶たない。働き方改革とメンタルヘルス対策は急を要する▼評論家の加藤諦三さんは「『自分の働き方』に気づく心理学」(青春出版社)で、仕事に苦しむ人は「認められたい」欲求が強い。そのため「理想の自分」と「本当の自分」の乖離(かいり)に思い悩むという▼「本当の自分」は最初からあるものではなく、時間をかけて「自分になっていく」もの。ストレスの原因は仕事そのものより、心の葛藤こそが問題だと加藤さんは指摘する▼さて働いた褒美として「グリーン車の切符」を欲しがる人も多いだろう。いかにもセレブ感が高そうだが、だからといって天国に行けるとは限らない▼心に葛藤を抱えていれば、たとえエリートでもグリーン車に乗ってどん底まで落ちる。逆に鈍行列車で天国に行ける可能性もある。他人の評価でなく、自分の基準を持つ―。加藤さんはそんな働き方を推奨する。

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