くじら汁用の皿。振る舞う際に来場者に選んでもらう=3日、福井県あわら市波松

 福井県あわら市波松区に江戸~明治時代に伝わり、出漁前や結婚式などの節目に振る舞った「くじら汁」を後世に伝えようと、地元有志が10月8日に開く催しで、くじら汁を振る舞う。今も各家庭にある専用の深皿を使い、区の歴史と文化を堪能してもらう。関係者は「郷土料理を多くの人に知ってほしい」と話している。

 波松区のお年寄りらによると、くじら汁はクジラの脂身と野菜、豆腐のみそ仕立て。北前船の乗組員だった区の住民が北海道からもたらした。

 北海道では正月の祝いの席で食べられていた。波松区では春の出漁時、豊漁と安全を願って網元が漁仲間に振る舞ったという。その後、結婚式や新築祝いなどで出されるようになった。

 各家庭には専用の皿もあった。直径約15センチで花柄などが描かれており、九谷焼など数十枚をそろえていた。だが昭和40年代ごろから結婚式を家以外で行うようになり、脂身も手に入りにくくなったことなどから現在はほとんど食べていない。

 住民有志が波松の食文化を知ってもらおうと、8日に休校した波松小で開かれる「波松流木きらめきフェスタ」で振る舞うことを企画。午前11時半から限定250食を提供する。クジラは県漁連から調査捕鯨のものを仕入れる。来場者には約10軒から集めた専用の皿約120枚から自由に選んで食べてもらう。

 「一人3杯ほど食べた。家族や親戚の『おかわりー』との声が飛び交い、にぎやかだった」と実行委員長の東川継央さん(61)は懐かしむ。「当日は波松の食文化を感じながら味わってほしい」と話している。

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