【論説】銀行カードローンを巡り「多重債務の温床」などと批判が高まっている。個人向けに無担保で貸し付けを行うことで、まとまった金額を借りたい人にはありがたいだろう。だが、借金を借金で返す負のスパイラルに陥り、自己破産に追い込まれる人も少なくない。

 折しも、暴力団員ら反社会的勢力との取引を排除するため、銀行側が売りにしていた即日融資が来年1月にも取りやめになる見通しという。融資審査には数日かかるとされ、各行はその間、顧客の収入や他行からの借り入れ状況をチェックするなど自主的な取り組みの強化を求めたい。

 かつて消費者金融などの貸金業者から借金し、行き過ぎた取り立てで自殺に至るケースが続出。「サラ金地獄」などと称され、社会問題化した。これを受け2010年に改正貸金業法が完全施行され、貸金業者に強引な取り立ての禁止や、「年収の3分の1」を超える融資は不可とする「総量規制」が課せられた。こうした貸し付けに注力していなかった銀行は規制対象から外れた形だ。

 ところが、低金利時代を迎え、十数%もの利ざやが得られることから、各行挙げて個人向け無担保ローンを推奨。総量規制の対象外のため、日弁連の調査によると、年収200万円余なのに500万円も借りたり、無収入なのに300万円を借り受けたりし、自己破産や整理手続きに至ったケースもあるとされる。

 さらには、提携する貸金業者が事実上の「保証人」となるため、貸し倒れリスクを負わずに済む銀行にとって、カードローンは魅力的な事業であることは確かだ。日銀によると、国内銀行の6月末のカードローン貸出残高は5兆6793億円で、ここ5年で約1・7倍となった。一方で、個人の自己破産申し立ては昨年、6万4637件に達し、13年ぶりに増加に転じたという。

 全国銀行協会は3月、厳格な審査など過剰な貸し付けに対する抑制策を発表。しかし、その後も貸出残高は増え続け、会員行の毎月の残高を公表する方針も示した。金融庁も先日、融資実態を把握するためにメガバンク3行への立ち入り検査を始めるなど、重い腰を上げつつある。

 住宅ローンなどの金利は1%未満も珍しくなく、銀行にとってカードローンは貴重な収入源であり、期待の成長分野ともされる。だが、経済の血流を担うともされる銀行が、顧客を不幸に陥れることが想定されながら、貸し付けを続ける状態は「銀行のサラ金化」と揶揄(やゆ)されても仕方がないのではないか。今後、ゆうちょ銀行もこのカードローン事業に参入する見込みとされ、競争の激化が指摘されてもいる。

 一部では、他行の借り入れ分を含め年収の3分の1や2分の1にまで制限する総量規制を導入する動きもあるという。返済能力を超える貸し付けはしないという業界の自主規制がどこまで実効性のあるものなのかが問われている。
 

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