山車の前で記念撮影するダイヤモンド・プリンセスの外国人乗客。敦賀まつり以外の寄港時のおもてなしが課題だ=9月2日、福井県敦賀市

 外国大型クルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス」の9月2日の初寄港は、敦賀まつり(福井県敦賀市)を楽しむ外国人客で市街はあふれ、商店街からも「売り上げが思いの外あった」との声が上がるなど成功裏に終わった。ただ、各店舗は一過性のものとの認識が強く、継続的なにぎわい創出を求める声も。敦賀まつりという特別イベントのない今後の寄港で、おもてなしを充実していく必要がある。

 ■「特別感」

 オーストラリアや米国人など外国人客2千人超を含む約2700人の乗客は、市街地で敦賀まつりの山車(やま)やお稚児舞踊を堪能したり、県内観光地を巡るオプショナルツアーに参加したりした。多くの市民が歓迎し、出港時には岸壁で千人以上が見送った。

 乗船していた旅行業界記者、山田紀子さん(44)は「市街で伝統の祭りなどを見て、他の寄港地とは違う体験ができ、外国人乗客らは『特別感』を感じて喜んでいた」と敦賀寄港の感想を話した。

 多くの市民が岸壁で出迎えたり、一緒に祭りを楽しんだりするなど、地域住民との距離感が近かったことも特徴に挙げ「市民は明るく話しかけてくれ、地元の雰囲気を一番間近に見て知ることができた」と分析。温かなおもてなしも心に残ったようだ。

 ■和物人気

 寄港の地元経済効果は県の試算で約4千万円。土産代や飲食費、オプショナルツアー料金を含め乗客1人当たり1万5千円程度で、当初想定の3千万円を上回った。

 気比神宮周辺の本町1、2丁目商店街や神楽、相生商店街なども外国人客らでにぎわった。越前竹人形と越前和紙を取り扱う越前屋(本町1丁目)の竹中文子さん(83)は「いつもは閑古鳥が鳴いている状態だけど、竹人形がかなり売れ1日で2カ月分以上の売り上げがあった」と“特需”を喜んだ。

 外国人客は和物に興味を示し、呉服店では日本手ぬぐいや法被、西陣織の帯の切れ端などが売れた。市は当初、外国人客はクレジットカード利用が多いとみて商店街に対応を求めていたが、日本円の現金を持っている客が多かったという。

 本町1丁目商店街振興組合の小坂政徳理事長(45)は「英語はスマホの翻訳アプリなどを使って対応し、特別なことをしなくても自分たちの商売を一生懸命すれば、外国人客をもてなせることが分かった」と手応えを感じた様子だった。

 ■駅前閑散

 今後のインバウンドへの期待が膨らむが、なご呉服店(本町1丁目)別館店長の名子央さん(39)は「売れてラッキーだったが、これが続くわけではない。外国人客のために店を変化させることはない。普段の商売の方が重要」と冷静に見る。

 9月定例市会の一般質問では課題を挙げる声もあった。中野史生議員(市政会)は「敦賀駅前に外国人客は少なく閑散としていた。波及効果は駅周辺までは及んでいなかった」と指摘した。

 ダイヤモンド・プリンセスは10月14日、来年4月17日にも寄港する。14日は市きらめきみなと館で北前船寄港地をコンセプトとした物産展、商店街では100円の商品を売り出す「敦賀百縁笑店街」や手作り雑貨などが並ぶ「けひさんアートマルシェ」が開かれる予定。

 敦賀まつり以外の寄港時に、いかに“特別感”を演出するかの工夫が求められそうだ。市人道の港発信室は「普段の受け入れ態勢の延長で、外国人客らへのおもてなしがしっかりとできるかが今後の課題」としている。

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