東郷商店がパリに開業した越前そば店。食材をはじめ、食器や地酒も福井産を使用する(同社提供)

 繊維商社の東郷商店(本社福井市城東1丁目、東郷克意社長)が、フランス・パリで越前そば店をオープンした。4年がかりで開店にこぎ着け、福井県産のそば粉、地酒、越前焼を使うなど“オール福井”にこだわり、ブランドを発信する。ファッション産業の最先端に拠点を構える強みを生かしたビジネスも展開する計画で、本業との相乗効果を上げていく。

 同社は婦人衣料向け生地を企画製造する。内需の停滞を受け、産元商社としては全国に先駆けて海外市場に打って出た。現在では海外向けが売上高の5割を占め、欧州のトップブランドなどに販売している。

 同社が商談などでよく訪れるパリには、福井の代表的な食である「越前おろしそば」を出す店がなく、取引先の日本企業の駐在員らからもニーズがあったことから、「リーズナブルで本物にこだわった店をつくりたい」(東郷社長)と決断し、準備を進めてきた。

 東郷社長によると、パリでは日本食ブームに伴い飲食関係の物件が高騰。さらに飲食店新設の法規制が厳しく、建物が古いため臭いの対策や近隣住民との交渉などにも時間を要し、開業は大幅に遅れたという。構想から4年を経て8月、「越前そば東郷」をオープンさせた。

 店舗はパリ中心部の住居ビル1階にあり、ルーブル美術館まで徒歩15分という好立地。客席は28席を用意し、東郷社長の次女ら社員3人を派遣、現地の日本人を含め計5人で運営する。おろしそばをはじめ、ソースカツ丼などメニューは20種類。現地サラリーマンや日本の駐在員を中心に、一日70人超の集客がある。年商8千万円を目標に掲げる。

 店づくりはメードイン福井にこだわった。入り口には染物屋の紅久(福井市)が制作した長さ2メートルの紺地のれんをかけ、和の雰囲気を醸し出す。橋詰製粉所(同)の県産そば粉を使用し、2週間ごとに空輸。食器は越前焼の陶芸家五島哲さん(越前町)に依頼し、店内で作品の展示もする。日本酒は吉田酒造(永平寺町)の「白龍」を提供する。食材や物品の輸送は、福栄倉庫(福井市)と契約している。

 東郷社長は「県産の品々は世界に誇れる。福井にこだわって、福井のブランドを発信することで地域経済の力になりたい」と意欲を語る。また本業の欧州ビジネスに関しては、現地のトレンドをリアルタイムで把握し商機につなげる狙いで、「そば事業は本業に必ずプラスになる。最先端の情報をいち早く収集し、的確な商品づくりにつなげる体制も整えていく」と先を見据えている。

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