【論説】越前市の産業が一堂に会し魅力を発信する「越前モノづくりフェスタ」が先ごろ3日間にわたって、サンドーム福井で開かれた。県内屈指の伝統産業と先端技術がバランス良くそろうだけに見応え十分だが、1自治体の枠にとどめておくのは惜しい。北陸新幹線南越駅(仮称)開業を見据え、丹南圏の産業を集約した展示の場も視野に入れたい。

 モノづくりフェスタは、武生商工会議所、越前市商工会、同市でつくる実行委員会が主催し、177の企業・団体が出展。県内製造業の中核企業が最先端の技術を披露。越前和紙、越前打刃物、越前箪笥(たんす)といった伝統工芸の技も集結した。

 今年は特に体験コーナーが充実し、木工芸や勾玉(まがたま)作りなどに親子の行列ができた。全技連マイスター会による技術体験も人気で「ものづくりの心」を次代に育む狙いは成功といえる。

 一方でアピール力やセールス力には課題が残る。卓越した伝統の技も、最新技術も、国内外に響かなくては宝の持ち腐れだ。出展者から「技術は誇れるが、販売ルートやチャンネル作りが難しい。ネット販売が頼り」との声を聞いた。

 丹南エリアは、ものづくりの一大産地である。県工業統計調査によると、産業別従業員数で製造業が占める割合は、越前市が40・5%、鯖江市が35・8%で1、2位。製造品出荷額は越前市が福井市を抑えトップの位置にある。

 県内に七つある国指定伝統的工芸品も、越前市に前述の三つがあり、鯖江市の越前漆器、越前町の越前焼と五つがそろう。同フェスタが掲げた「越前ブランド 世界へ発信」のテーマ通り、これほど強力な地域ブランドはない。

 同フェスタは旧武生市の時代から通算36回を数える。サンドーム福井の完成を機に1996年に「丹南産業フェア」と改称。98年からは「丹南は一つ」を合言葉に鯖江商工会議所などが主催者に加わった。しかし合同開催は4度で終わり、現在鯖江市は「さばえものづくり博覧会」を市嚮陽会館で開いている。

 そのためか両市境にあるサンドーム開催にもかかわらず、鯖江市からの入場者は年々減っている。同市には眼鏡や繊維もあり、相乗効果で商談の場としても活気づくのではないか。越前、南越前、池田3町が加われば、食や観光を含め来場者の楽しみも広がる。

 5年後には北陸新幹線が南越駅に止まり、インバウンド(訪日外国人客)戦略が新時代を迎える。紙すき、陶芸、そば打ちなど体験型観光が一カ所で味わえる施設や機会が必要だ。広域圏の仕掛けは地方創生にもマッチする。

 7伝統工芸の職人でつくる「七人の侍」のように、民間の一部は新商品開発などでコラボし、外への発信力を強めている。産業界、行政も境界線を踏み越える時期にきている。
 

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