【越山若水】学校からの帰り道にたくさん生えていたのはイタドリだ。茎を折ればポンと良い音がした。食べると酸っぱかった。思えば筆者は本当に道草を食っていたのだった▼日本にはずいぶん昔から生えていたようで、清少納言も「枕草子」に書いている。「虎杖はまい て虎の杖(つえ)と書きた るとか。杖なくと もありぬべき顔つ きを」と▼イタドリは漢字なら「虎杖」。虎は杖など要らない顔をしているのに、と大仰な字を不思議がっているのである。若い人にはピンとこない話かもしれないけれど…▼英国で大変なことになっているという。19世紀に日本から欧州に持ち込まれたイタドリが、全土にはびこった。道路や家の土台も壊すので「破壊的植物」と目の敵にされている▼除去するのに年間約240億円もかかっているとの試算があり、訴訟沙汰にもなっている。そこで天敵の虫を日本から輸入し、効果の程を検証しているという。大丈夫だろうか▼ハブにマングース、の沖縄の例が有名だ。ハブ退治に輸入したのに、効果はいまひとつ。そのうち爆発的に増えたマングースによって本来の生態系が壊されたのだった▼イタドリは室町時代の歌謡集「閑吟集」にもその名が見える。古来、若菜を食べて生命力を頂く習慣があったからだ。英国民にもお勧めしたい。自然の最大の天敵は何より人間、と言っては身も蓋(ふた)もないけれど。

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