地村さん夫妻が男4人に拉致された小浜公園展望台。近くの海岸でボートに乗せられた=福井県小浜市青井

 北朝鮮による拉致被害者、福井県小浜市の地村保志さん、富貴恵さん夫妻=ともに(62)=が拉致された当時の状況や、24年間にわたる北朝鮮での生活ぶりが、複数の関係者の証言や過去の資料などによって、26日までに分かった。地村さん夫妻が帰国してから10月15日で15年。証言からは、死の恐怖におびえながら、ボートや船を乗り継いで北朝鮮に渡った様子、徹底した秘密主義、隔離され絶望から始まった暮らしの中で、2人で前を向き生き抜く姿が伝わってくる。

 ⇒【記事】拉致被害者帰国15年、小浜で10月9日集会

 1978年、23歳の保志さんと富貴恵さんは、同市青井の小浜公園展望台で工作員4人に拉致された。

 北朝鮮に向かう船の部屋は別々で、お互い自分だけが拉致されたと思っていたが、1年4カ月後に再会。すぐに結婚し、3人の子どもに恵まれた。

 北朝鮮で保志さんは日本の新聞の翻訳の仕事などをさせられており、1997年に日本で拉致被害者家族会が設立されたことなどは知っていた。保志さんと富貴恵さんの顔写真を持って救出を訴える家族の写真も目にしていた。

 ただ、北朝鮮は対外的に拉致を明確に否定していたため、自分たちの立場が窮地に追い込まれはしないかと、不安な日々を送っていた。

 拉致から24年後の2002年9月、当時の小泉純一郎首相が訪朝し、日朝平壌宣言に署名。その約1カ月後、ほかの拉致被害者3人とともに、帰国を果たした。

 北朝鮮に子どもを残してきており、帰国は一時的なものだと考えていたが、日本政府の説得もあって永住を決断。子どもは04年5月に帰国した。現在は3人とも就職し、日本の生活になじんでいる。

 地村さん夫妻の帰国15年に合わせ10月9日、小浜市文化会館で「拉致・特定失踪者問題の早期解決を願う福井県集会」が開かれる。

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