牛に交じって飼料を食べるイノシシ=25日、福井県勝山市

 福井県の大野と勝山両市に広がる奥越高原牧場の一部で、イノシシによる被害が長年続いている。放牧牛に交じって餌を食べる姿に、観光客からは「かわいい」と声が上がるものの、職員らは「牧草地を掘り返されて地面がボコボコ。トラクターもひっくり返りかねない」と困り顔だ。

 牧場では県内の酪農家から雌の子牛を買い取り、約2年間育成する。現在200頭余りを手掛け、うち約80頭を放牧している。

 25日朝。職員らが飼料をまくと牛が集まるとともに、イノシシ1頭が姿を現した。職員が追い払おうとするが、様子をうかがいながら飼料を食べ続けた。「多い時は10頭ほどが食べに来る。困っています」。職員らはイノシシが破ったフェンスの修理を始めた。

 牧場では牛の日よけ用にある雑木林をすみかとして成獣とうり坊の15頭ほどが生息しているとみられる。雑木林周辺で牛に与えた飼料を食べたり、地面を掘り返してミミズなどを餌にしたりしている。近くにドングリの木が多いことや、昔に比べて積雪量が少ないことが住みやすい環境につながっているという。

 桝田靖憲場長は「土と一緒に大きな石も掘り起こすから、トラクターが石にぶつかって故障したこともある。職員のけがにつながらなければいいが」と危惧する。衛生面を懸念し月に1度、牛にダニ駆除薬を塗ることも欠かせない。

 イノシシが嫌う臭いや音を出すなど対策に取り組んでいるが、継続的な効果は出ていない。桝田場長は「一番効果的なのは電気柵だが、牧場が広すぎる。抜本的な対策法が見つからない」と頭を悩ませている。

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