白山AIファームを設立した野坂弦司さん=福井市大手3丁目のブータンミュージアム

 日本システムバンク(福井市)の前会長で、福井市のブータンミュージアムを運営するNPO法人・幸福の国の前理事長、野坂弦司さん(80)が農業への参入を決め、新たなモデルの農業法人を設立した。人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)を駆使して福井県内の耕作放棄地復元に取り組むとともに、都市部の若者のIターンやUターンを促して5年で計700人の採用を計画。福井の農業の再生・発展を図りながら、後継者育成や人口減の抑制につなげていく。

 設立したのは白山AIファーム株式会社(本社福井市開発4丁目)。5月に法人登記し、社長は野坂氏が務める。役員や顧問には野坂社長とつながりのある県内のワイナリー社長、製麺会社経営者、元行政職員、元JA役員、学識者らが名を連ねる。

 法人設立の目的の第一が「自然環境破壊や国土荒廃を招く耕作放棄地の復元」。野坂社長は「県内をはじめ日本の農業者はどんどん高齢化し、農業を続けられなくなっている」と危機感を示し、衛星利用測位システム(GPS)やICTなどを駆使した「スマート農業」で若者の就農への魅力を高め、耕作放棄地の増大に歯止めをかけたいという。

 県内で広く農地の提供者を募り、越前、大野、勝山、福井、あわらの5市で計13・65ヘクタールを借りたり購入したりして確保。クリ、ナシ、ブドウの果樹やコメ、ソバなど、さまざまな農産物を生産していく。本格的な活動は、11月にクリの木の植樹から始める計画。13・65ヘクタールのうち3分の2は中山間地といい、小型無人機ドローンも使いながらイノシシやサルなどの獣害を防ぎ、山林との境界の明確化にも努める。

 若者の採用は東京、京都、名古屋などの大学と連携し、福井大の県外出身者を含め既に6人が入社の見込みとなった。農業向けAIシステムや、GPSを利用した農機、水田への給水やハウス内の温度を管理するICTを順次導入していく計画で、野坂社長は「若者の活躍の場は広い。農業を楽しく、新しいものにしたい」と意欲を示している。

関連記事
あわせて読みたい