「まずはマルトリートメントを知ることが大切」と呼びかける友田明美教授

 「チャイルド・マルトリートメント」。日本語では「不適切な養育」と訳され、暴言や暴力など明らかな虐待や育児放棄だけでなく、子育てに真剣になるあまりにしてしまう度の過ぎた行為なども含まれる。過度になると、子どもの心身が傷つき、脳が変形してトラウマを引き起こしたり、親との信頼関係が結べない「愛着障害」となり子どもの成長に影響を及ぼす可能性があるという。このほど本「子どもの脳を傷つける親たち」を著した福井大子どものこころの発達研究センター(福井県永平寺町)の友田明美教授は、注意を促す一方で「日常の中で起こり得ること。マルトリートメントの経験が全くない親などいない」と指摘。「大事なのは、親たちがマルトリートメントへの理解を深め、そうした行為が誤りだと認め改めること。状況は回復できる」と説く。

 ■「虐待」より広範囲

 友田教授は小児精神科医で、脳科学の研究に取り組む。親の過度なマルトリートメントにより、子どもの脳が萎縮・肥大することを突き止めた。子どもの心や体を傷つける行為は多岐にわたり、「虐待」という言葉ではカバーしきれないとして「マルトリートメント」という言葉を用い啓発している。

 ⇒【画像】マルトリートメントの事例

 マルトリートメントに当てはまる行為はさまざま。友田教授自身も身に覚えがあるといい、▽疲れて帰宅した際、側溝に家の鍵を落とした娘をたたいてしまった▽眠っている娘を置いて短時間職場に行ってしまった―などの事例を自著の中で紹介している。自信をつけさせようと、嫌がっているのに、人前で暗算の練習をさせたこともあるとし、子育てへの熱い思いの中にもマルトリートメントはあると説明する。

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