代表作や影響を受けた名品など約90点が並ぶ「高田博厚展」=16日、福井市美術館

 福井ゆかりの彫刻家、高田博厚の没後30年を記念した企画展「高田博厚展-対話から生まれる美」が9月16日、福井市美術館で始まった。国内外の知識人と交流し制作に励んだ高田の生涯を、初期から晩年までの代表作と影響を受けた名品計約90点でたどる。11月5日まで。

 高田の作品を常設する同美術館が、開館20年展を兼ねて企画した。展示は、独学で彫刻を始めた福井・東京時代から、27年間に及んだパリ時代、帰国後の東京・鎌倉時代まで5章で構成されている。

 2歳から18歳までを福井で過ごした高田は、初めて彫刻作品に触れたのも福井だったといわれる。パリ時代には、文豪ロマン・ロランや哲学者アランらとの交流を通して彫刻の思索を深め、高い精神性を込めた作品を数多く制作した。代表作のトルソー「カテドラル」(1937年)はこの時代に作られた作品。カテドラルはキリスト教の大聖堂を意味し、同美術館学芸員の鈴木麻紀子さんは「西洋の人々が神に祈る思いに感銘を受け、それを彫刻で女性の体に託したのだろう」と解説する。

 このほか、ロランやアランらの肖像彫刻や、渡仏したばかりの高田に大きな衝撃を与えた彫刻家ロダン、ブルーテル、マイヨールらの作品や手紙なども展示され、高田の息遣いが感じられる。帰国後に設けた鎌倉のアトリエを再現し、生前使っていたパステルや木炭、へらなどの制作道具や愛蔵品を並べたスペースもある。

 鈴木さんは「スケールの大きな高田さんの生涯と素晴らしい作品を皆さんに知っていただきたい」と話す。来場者の張悟源さん(24)は「人の内面まで考えて彫刻の制作にあたっていることが伝わってきた」と話していた。

関連記事
あわせて読みたい