【論説】国連安全保障理事会が6回目の核実験を強行した北朝鮮に対し、新たな制裁決議案を全会一致で採択した。全面禁輸とはならなかったものの、「石油」を俎上(そじょう)に載せたのは大きい。今後さらなる挑発があった場合、全面禁輸に踏み切ることも可能になる。

 北朝鮮の後ろ盾となってきた中国とロシアは今回の制裁案をのんだ以上、「当事者」としての責任は免れない。日米韓は圧力と並行して、中ロに外交的解決の糸口を探る動きを強めるよう働き掛けるべきだ。

 米国のヘイリー国連大使は、決議で石油精製品の供給を年間200万バレルに制限すれば、現状維持となった原油と合わせ輸入燃料類の約30%を減らす効果があるとの見方を示した。繊維製品の輸出禁止では年間約8億ドル(約880億円)規模に上るなどと主張。制裁対象は北朝鮮からの輸出の90%超まで拡大するとした。

 北朝鮮からの出稼ぎ労働者に対する就労許可の禁止も例外規定が付けられたものの、今後の強化を見据えた一手といえよう。フィリピンやタイが北朝鮮との経済関係を断絶、縮小するなど、包囲網のグローバル化は、じわじわと北朝鮮を締め付ける効果を持つ。

 問題は各国がどこまで制裁を徹底して履行するかだ。とりわけ主要な貿易国である中ロが完全履行しない限り抜け道となりかねない。安保理はむろん、日米韓も含め監視の目を強める必要がある。

 先週、ロシアのウラジオストクで行われた安倍晋三首相とプーチン大統領との会談では、対北朝鮮制裁を巡りプーチン氏が対話を重視する姿勢を示して平行線に終わった。安倍首相は個人的な信頼関係で打開を図ろうとしたが、そう簡単ではなかった。今後も粘り強く話し合い、ロシアを説得する責任がある。

 一方、北朝鮮は制裁決議案の採択を前に外務省声明で「(採択されれば)最後の手段も辞さない」と強硬姿勢を示したように、反発を強めることは必至だ。日本の上空を通過する弾道ミサイルの発射実験や、7回目の核実験を強行する懸念もある。

 だが、今回の決議で挑発を繰り返すほどに、制裁がさらに強化される下地はできたと見ていい。北朝鮮の怒りは中国やロシアにも向けられ、中ロが外交交渉に乗り出さざるを得ない事態も想定される。石油の全面禁輸などが実施されれば、いずれ体制消滅の危機に直面することになるだろう。

 ただ、北朝鮮はこれまでも8件の制裁決議を受けながら、核・ミサイル開発を進展させてきた。貿易の闇ルートの開拓にたけてきた国だけに、第三国の企業などを介した輸出入には目を光らせる必要がある。

 プーチン氏が核実験を受け「北朝鮮は雑草を食べることになっても、自国の安全が保障されていると見なさない限り計画をやめない」と指摘したように、制裁をいくら強化しても核・ミサイル開発の断念につながっていくかどうか、不透明さも拭えない。

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