【越山若水】児童書でありながらベストセラー入りしている本がある。「ざんねんないきもの事典」(今泉忠明監修、高橋書店)で、続編も含め発行部数は75万部を超えている▼動物たちの不思議な生態や進化の過程を単に紹介しただけではない。「アライグマは食べ物をあらわない」など、自虐的な語り口が笑いを誘い親近感を呼んだ▼では、皆さんご存じ「残念な生き物」の話題を一つ。時速100キロ以上で走るチーターである。表題は「チーターはスピードに特化しすぎて肉食動物なのに弱い」▼とことん走りを追求したチーターに重たい体は邪魔になる。だから頭は小さく足は細長い。まさにモデル体形に進化した。しかし代わりに失ったのが攻撃力と防御力。大型肉食獣では最弱のレベルだ▼せっかくつかまえた獲物も、ハイエナなどに奪われるのは日常茶飯事である。ただ今さら後悔しても遅い。「進化の道」は一方通行で、手放した能力は取り戻せないらしい▼核・ミサイル開発を一向にやめない北朝鮮に、国連安保理は初めての石油制限を盛り込む制裁強化決議を採択した。国際包囲網は徐々に狭まってきた▼全面禁輸は免れたとはいえ、石油は経済活動の生命線である。人民の生活より「核・ミサイル」最優先の北には致命的ともいえる。走りに特化したチーターさながら、失ったものの大きさを思い知るのだろうか。

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