「つらかったり、話し相手がいなかったりしたら電話してきてほしい」とチャイルドラインの利用を呼びかける谷内由美子室長=福井市木田町

 夏休み明けの子どもの自殺増加が全国で問題化する中、長期休暇による生活リズムの乱れや新学期への不安から、9月は学校へ行き渋るケースも少なくない。福井県内の関係者は、この時期は子どもの様子を注意深く見守る必要があるとし「1人で抱え込まず大人を頼って」「学校以外の選択肢も視野に」と呼び掛けている。

 「9月に入ったらそちらに行ってもいいですか」。福井市のハピリン内で不登校の子どもを支援するフリースクール「みんなの広場」を開設しているダニエル・益資さん(37)のもとに8月上旬、中2の娘を持つ母親から電話が入った。例年8~9月は見学の問い合わせが増えるという。

 7月ごろまで通っていた女性(19)は県内の進学校に入学したものの、学校の雰囲気になじめず、不登校に。「広場」では自分のペースで学び、文部科学省が行う高校卒業程度認定試験に合格し、来春は大学受験を予定している。ダニエルさんは「学校に行けないことでくよくよする必要はない。家庭での教育を中心としたホームスクールや通信制、フリースクールなど学びのスタイルは多様であることを知ってほしい」と話す。

 県子どもNPOセンターが運営する子ども向け相談電話「チャイルドライン」にも8月末ごろから、学校への行き渋り、いじめ、友達との関係に関する相談が目立ち始めた。谷内由美子チャイルドライン室長(49)は、相談に対し、上から目線でアドバイスするのではなく、傾聴を心がけている。「話すことでつらさが解消するかもしれない。ここが心の居場所になれば」という。

 子どもたちからは「親に心配かけたくない」「先生に迷惑かけたくない」という言葉がよく聞かれる。「しっかりしなきゃいけないと思わず、周りの人を頼ってほしい。今は苦しいかもしれないけれど、自分の良さや感性が生きる時、場所がきっとある」とメッセージを送る。

 福井大や福井弁護士会は「子どもの悩み110番」を9月17、18の両日開設する。年3回開いているが、毎年9月は相談が多いという。スタッフの1人で、福井医療大の森透教授は「リスクの高いこの時期、周囲の大人は子どもの何げない言葉や普段と変わったところがないかを見て、SOSを見逃さないようにしてほしい」とする。

 その上で「学校に行き渋る子でも『友達としゃべりたい』『みんなと一緒に勉強したい』という気持ちがあるかもしれない。親や先生、周囲の大人が子どもに寄り添い、しっかり対話してほしい」と訴えている。

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