北陸新幹線トンネル工事の崩落で陥没した柿原グラウンド=8日午後6時10分ごろ、福井県あわら市柿原

 福井県あわら市柿原で建設中の北陸新幹線柿原トンネルで8日に崩落が起きたのはちょうど、夜勤の作業員が現場から引き上げる時間帯だった。建設会社の担当者は表情をこわばらせ、「作業中だったら生き埋めになっていた」。直径約15メートルにわたって陥没した柿原グラウンドは、野球の小中学生チームが日常的に使っており、保護者ら住民は「一歩間違えれば大惨事になっていた」と声を震わせた。

 グラウンドは、野球のバックネット付近から三塁側にかけての地面がぽっかりと口を開け、異様な光景を見せた。陥没部から北東側十数メートルにある鉄棒に向けてもトンネルに沿って地面がくぼみ、グラウンド全体が立ち入り禁止になった。「詳しい原因は伝わっていない」と堅く口を結ぶ見張りの作業員。規制線手前にある高台の駐車場からも、穴の底は全く見えず、陥没規模の大きさをうかがわせた。

 工事関係者によると、トンネルの掘削作業は、建設会社3社の共同企業体(JV)が、午後7時~翌日午前5時と午前8時~午後5時の2交代制で行っていた。崩落したのは、作業の中心となるトンネルの先端部付近。作業員は避難して無事だったが、午前5時45分ごろの発生時刻がずれていれば、死傷者が出ていた恐れもあった。現場付近は6月にあわら市細呂木小の児童が見学で訪れ、7月にも住民向け見学会が行われていた場所だという。

 午前6時40分ごろに現場所長から報告を受けた柿原区の酒井敏雄区長(68)は驚いた様子で「早急に原因と対応策を住民に説明してほしい」。近くに住む男性(76)は「陥没時は大きな音はなく気づかなかった。穴が思った以上に大きくて驚いた」と怖がっていた。

 柿原グラウンドでは週末の10日、金津地区の少年野球チームが練習試合を予定していた。このチームに小学6年の選手がいる母親は「普段使っているグラウンドが使えず、代わりに予約していた。もしそのときに重なっていたらと思うと…」と言葉を詰まらせた。

 柿原トンネルでは、JVと嶺北あわら消防署が1日に事故対応訓練を行ったばかりだった。安全管理の徹底を訓示した現場所長は、この日、終始無言を貫いた。訓練を見守った同署の土田照章署長は「工事はしっかりしているとの印象だっただけに残念極まりない。1日も早く原因を究明してほしい」と話した。

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