共同研究で発見した新たなタイプの腎炎について説明する高橋助教=7日、永平寺町の福井大医学部附属病院

 福井大医学部の研究チームは7日、県外の研究機関との共同研究で、通常の腎臓の組織検査では診断できなかった新たな腎炎を発見したと発表した。老廃物をろ過した原尿から、必要な物質を再吸収する腎臓内の「尿細管間質」が炎症を起こす腎炎の別のタイプ。同チームは「発症メカニズムの解明を進め、新たな治療法の開発につなげたい」としている。

 同大学術研究院医学系部門の腎臓病態内科学分野の医師でつくる研究チームを中心とする7府県10研究機関の医師計29人による共同研究。米国の腎臓学会誌電子版(8月9日付)で論文を発表した。

 腎炎の多くは、体内の老廃物をろ過する「糸球体」が炎症を起こす糸球体腎炎。尿細管間質性腎炎は少なく、タンパク質の一種「免疫グロブリンG」をつくる細胞が腎臓に多く存在することなどから診断する。

 福井大医学部の研究チームは2010年、免疫グロブリンGと同じタンパク質だが、構造の異なる「免疫グロブリンM」をつくる細胞が腎臓に多く存在する尿細管間質性腎炎患者1人を発見した。共同研究で腎炎患者2万1786人分の腎臓の組織を調べたところ、13人に免疫グロブリンMをつくる細胞が多くあることを確認した。

 13人全員に尿の酸性化障害があるなど共通点があり、尿細管間質性腎炎の新たなタイプと結論づけた。特定の自己免疫疾患を合併するケースが多いことも突き止めた。

 会見した同大医学部の高橋直生助教は「新タイプの腎炎は通常の検査では診断が難しく、見逃されたり原因不明の腎炎とされたりしていると考えられる」と指摘。「まずは診断基準を策定したい。発症メカニズムを解明し、新たな治療法の確立も目指す」と話している。

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