福井県鯖江市河和田地区で活躍した沈金師で漆芸家の故・真保由斎(しんぼゆうさい)氏(一八九九―一九七六年)の顕彰展「真保由斎 彫りの世界展」(越前漆器協同組合主催、鯖江市・福井新聞社共催)は八日、同市うるしの里会館で開幕した。豪快かつ繊細な技で沈金を芸術に昇華させ「伝説の沈金師」といわれた真保氏の代表作「栗春秋花筒(くりしゅんじゅうはなづつ)」など八十一点を展示している。三十日まで。

 真保氏は河和田町出身。一九一二年に沈金徒弟養成所に入り一四年に独立した。絵筆を使うように丸刀の角度を自在に操って彫り進み、線の太さや深さに抑揚を出す「太彫り」や、平刀を使った「片切(かたぎり)彫り」と呼ばれる技法を駆使した作品は高い評価を受けた。四四年に旧農商省から芸術保存作家の認定を受け、現代の名工にも選ばれた。


 彫りの世界展は、真保氏の個展ではこれまでで最大規模。会場には栗春秋花筒をはじめ、膳(ぜん)、すずり箱や額など代表作が所狭しと並んでいる。「毘沙門天沈金薄端様花器(びしゃもんてんちんきんうすばたようかき)」など初公開作品も含まれている。


 会場では、真保氏に師事した冨田立山氏(60)=鯖江市、窪田嘉晴氏(60)=同=が、作品の技法や制作時の苦労を説明。来場者は説明を聞きながら作品に見入った。再現された工房や生前の写真も展示され、真保氏に思いをはせていた。


 午前十時から開かれた開会式には真保氏の親族ら百五十人が出席。越前漆器協同組合の土田直理事長は「越前漆器の名を全国に知らしめた真保氏の技を感じてほしい」とあいさつ。テープカットして開幕を祝った。


 火曜日は休館。開館時間は午前九時から午後五時。入場無料。

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