もんじゅ廃炉に伴う地域振興策などについて林文科相(右)に要請する西川福井県知事(中央)と渕上敦賀市長=8月9日、文科省

 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)を巡り、林芳正文部科学相が言明した廃炉計画の「月末の申請」が難しい情勢となっている。地域振興の駆け引きで、計画申請前に地域振興の進展を求めたい福井県や敦賀市など地元側と、財源の確保には廃炉の進展が先決とする国側の主張が平行線をたどっているためだ。

 「この内容では、月末なんて無理だ」。今月下旬になって文科省が示した“回答”に、地元関係者はため息を漏らした。西川一誠知事や渕上隆信敦賀市長らが、今月9日の中央要請で求めた地域振興に関し、ほとんど前進が見られなかったという。

 その中央要請の席上、林文科相が「原子力機構は今月末に原子力規制委員会への廃止措置の認可申請を行う準備を進めている」と打ち上げた。機構はそれまで「地元との関係がある」として、提出時期を明言してこなかったにもかかわらず、実施主体の頭越しに所管官庁が突如、期限を切った形。即座に、西川一誠知事、渕上市長とも拙速な展開をけん制した。

 文科省が8月末という「あえて高いハードル」(担当者)を掲げた背景には、同時期に発表する来年度政府予算案の概算要求の存在がある。維持費を含む廃炉関連179億円を要求するため、国民や財務省に対する説得材料が必要とする。加えて地域振興の予算を計上しようとするなら、その前提である廃炉の進展が欠かせないとの立場だ。

 ある関係者は「国家プロジェクトとして廃炉を進めるのだから、もんじゅ限定の地域振興が成り立つ」と明かす。原発の廃炉はもんじゅ以外でも進んでおり、地域振興で内閣官房や経済産業省を巻き込むには、他の立地地域とのさらなる差別化が必要というわけだ。

 一方の地元側は「失われた将来像の回復が先」との立場だ。国が地元の国策への協力を顧みず、唐突に廃炉を決めたことへの不信感が根強い。「地域振興を空手形に終わらせない」(県関係者)というのが課題となっている。

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