はまぎしかなえさんの「おじいちゃんのふしぎなピアノ」

 福井市出身の絵本作家、はまぎしかなえ(本名・浜岸夏苗)さん(25)=京都市=のデビュー作「おじいちゃんのふしぎなピアノ」が発刊された。昨年の第38回講談社絵本新人賞受賞作品。おじいちゃんが弾くピアノは懐かしいお祭りや遠い外国の風景、思い出の場所をイメージさせ、いつしか心が鳥のように羽ばたいていく―。ピアノの豊かな音色と弾き手の人生が、温かみのあるパステル調の絵と話で表現されている。

 はまぎしさんは福井県内の高校を卒業後、京都市立芸大に進学、同大学院を修了し、4月からCGデザイナーとして会社に勤務している。同新人賞は2年連続で応募。1度目は佳作、本作(原題「ピアノ」)で見事最高賞を射止め、推敲を重ねて出版された。

 自身がかつてピアノを習っていた時の先生のアドバイスが元になっている。「『暗い洞窟の中から、ほら、外に出たよ』というように、情景を思い浮かべながら弾くように言われた。音を感覚的に教えてもらう楽しさがあり、それを絵本で再現したかった」

 ピアノのメロディーに合わせて、カーテンが夜空になったり、本棚が町並みになったりと、心に描く情景とともに部屋の様子が変化していく。

 同新人賞の審査員は「淡い色調に、独特のデフォルメで表現された物語は、ノスタルジーと若い躍動感が混在して爽やかな読後感がある」「音楽と主人公の内面の世界を描き、ページも変化に富んで魅力的」などと講評。はまぎしさんは「音から想像する楽しさを味わってもらえたら。自分の表現したいことを大切に、大人になって読んでも2度楽しい作品をつくっていきたい」と話している。

 講談社刊、1300円(税別)。

関連記事
あわせて読みたい