【論説】民進党代表選は前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官の一騎打ちとなった。両氏とも安倍政権との対立軸を打ち出す方針を強調し、離党者の続出を阻止するため挙党態勢を訴えた。だが、野党共闘や憲法改正、消費税増税で主張の違いも際立つ。

 問題の根源は民進党が抱える寄り合い所帯体質にある。蓮舫代表は自らの統率力、求心力の無さを辞任理由に挙げたが、結局、この体質に手を付けられず、放り出した形だ。危機的状況にある野党第1党を復活させるべく、両氏には踏み込んだ論戦を期待したい。

 両氏は1993年の衆院選で日本新党から初当選を果たした同期であり、その後も新党さきがけなどを経て、民進党の前身である民主党の結党に参加。それぞれ代表、幹事長といった党要職を歴任した。

 まずは、共産党を含めた選挙協力をどうするかだ。前原氏は「理念や政策が合わないところと協力するのはおかしい」と見直す考えを明確にした。これに対し、幹事長として昨年夏の参院選で共産党との協力に動いた枝野氏は「一人でも多く当選させるのが大きな責任」と関係を維持する姿勢を示した。

 また、憲法改正を巡り前原氏が「政権を目指す政党として国の基である憲法の議論はしっかりと行っていく」と党内議論を進める方針を明らかにした。一方、枝野氏は「民主主義を強化し、人権保障をより高め、国民の生活、経済をより良くする」のが改憲の目的とし、党内議論の結果、その必要性はなかったとした。

 共産党との協力に関しては「受け入れられない」と長島昭久衆院議員が離党するなど、党内には野党共闘へのアレルギー感を持つ議員は少なくない。憲法改正に対する姿勢を巡っては、代表代行だった細野豪志氏が「議論さえしないのはおかしい」と批判し辞任、離党した。

 「保守」と「リベラル」など、もともと考え方の異なる者が集まるがゆえに軋轢(あつれき)が表面化するのは避けて通れない。確かに蓮舫氏らを含め歴代執行部が積極的に解決しようとしてこなかった面は否めないが、民進党の性(さが)というべきものでもある。だが、ここを乗り越えない限り離党ドミノはむろん、党分裂といった危機的状況は解消されない。
「安倍1強」が劣化する中、野党第1党の果たすべき役割は大きく、チャンスともいえる。だが「反自公」「反安倍政権」という形でしかまとまれないのであれば、同じように軋轢を生む事態を招きかねない。

 両氏が徹底的に議論し、代表に選ばれた方が相違点は何が要因なのか、解消するための策はないのか、などをじっくり見極めながら党を再生していくべきだ。対立回避のため相違点を放置してきたことが、「民進スルー」ともされる現状につながっている。分裂を恐れて中途半端な議論に終始してはならない。過去の経緯を十分に体感してきた両氏が同じ轍(てつ)を踏むならば、民進党に明日はない。

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