「戦争の時代を生きた人々を、自分と無関係だとは思わないで」と話す片渕須直監督=16日、福井市順化の福井メトロ劇場

 第2次大戦中の広島県呉市で懸命に生きる女性を描き、昨年11月の全国公開以来、ロングランヒットを続けるアニメ映画「この世界の片隅に」の片渕須直監督が16日、終戦の日に合わせ福井市のメトロ劇場で開かれた上映会の舞台あいさつに訪れた。片渕監督に戦争や作品に込めた思いなどを聞いた。戦争を繰り返さないためには、「戦争の中にいた人たちの痛みを共有することが必要。次元が違う世界のことだと思ってはならない」と話した。

 ―なぜこの作品がヒットしたのか。

 原作のこうの史代さんの漫画が、そこに存在している人間をきちんと捉え、かつて存在していた時代がどんなものだったか、手触りを感じるくらいリアルに描いていて、そこに普遍性があったからだろう。

 親から戦争の話を聞いて育った40代と、戦時中に生まれた70代の親子連れの観客が多いと聞いている。90代女性が映画を見て、「自分は確かにああいう世界の中にいて、そこに存在していたことが自己証明なんだ」と言ってくれた。

 戦後の価値観で当時の人々を描くのではなく、彼らが置かれていた状況を、彼らの主観で描こうと思った。戦時中の人々の営みや空気、たたずまいの変化を感じ取っていく作品だ。

 ―福井も戦争で大きな被害を受けた。

 毎年夏には小浜市にある妻の実家を訪れている。小浜湾では戦時中、米軍の機雷によって駆逐艦「榎」が大破し、乗組員が犠牲になった。映画を作るため資料を調べるうちに、榎は数日前まで呉市にいたことが分かり、「この世界の片隅に」と同じ世界の出来事だったんだなと実感した。いろんなことが実はつながっていることを学んだ。

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