職員の巨額着服が発覚したJA福井市=14日、福井市渕4丁目

 JA福井市の40代男性職員による巨額着服事件で、被害に遭った2家族は、いずれも職員が以前勤めていた金融機関からの顧客だった。定期積金について、実際は月払いなのに一括払いの契約をしたように見せかけ、まとまった金を手に入れるなど、親密な信頼関係を悪用したとみられる。「巧妙な手口」(同JA)で監査による発覚を15年間免れ、遊興費に充てるなどした。

 「至っておとなしい性格。若干協調性に欠けていたが、顧客との信頼関係は高かった」。JA福井市は14日に開いた記者会見で、職員の人柄をこう説明した。

 職員は2家族に対し、高金利の運用話を持ち掛け、定期貯金、定期積金、共済契約を獲得。「もっと運用が良くなる」などと持ち掛け、一括払い契約を勧めた。実際には月払い契約を結び、毎月の掛け金を支払いつつ、一部を懐に入れていた。掛け金が足りなくなれば、同様の契約を繰り返し、“自転車操業”で発覚を免れていたとみられる。

 契約手続きそのものは適正に行われていたため、15年も表面化せず、会見で同JA幹部は「つかみようがなかった」と釈明した。共済契約のノルマ達成のため、JAが認めていない借名契約を複数結び、その掛け金にも着服した金を流用していたとみられる。

 通帳や印鑑を職員に預けていたことからも、被害に遭った2家族の信頼は厚かったことがうかがえる。同JAも「信頼関係」を考慮し、職員が支店を異動になっても“専属”の顧客として担当を変更しておらず、「長期間、顧客との特別の信頼関係で続けた取引が常態化したことが主な原因」と認めた。

 事件発覚のきっかけとなった、2家族とは別の顧客の定期貯金の解約では、書類には顧客直筆の署名、押印があったが、顧客には解約した意識はなかったという。被害が他にもないのかを含め、不明な点がまだ多く残っている。

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