外国人留学生向けの合同企業説明会。製造業を中心に海外展開を進める企業の採用ニーズは高まっている=4月、福井県国際交流会館

 「都会の大企業は魅力的だけれど、4年過ごした福井で働きたい。小さくても将来性がある、この会社と一緒に成長したい」。ベトナム人留学生のディン・マンクォンさん(24)=福井大工学部=は、東海地域の大手機械メーカーの内々定を受けたが、福井市内の繊維会社で働く意志を固めた。

 この会社は生地から製品までを一貫生産し、中国にも拠点がある。来年にも、成長著しいベトナムに進出し、欧米への輸出を計画している。

 ベトナム進出を見据え、既に現地の技能実習生十数人を受け入れている。ディンさんには即戦力として、現地工場の立ち上げに関わってもらうつもりだ。担当者は「高い品質を維持するには日本を知る留学生の採用が最も近道。現地新工場の幹部社員として大切に育てる」と力を込める。

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 人口減で内需の伸びが鈍化し、福井県内でも生産拠点や市場を海外に求める動きが加速している。それに伴う外国人の採用ニーズの高まりを受け、福井銀行は県などと連携し、留学生対象の合同企業説明会を今春初めて開催。製造業を中心に23社が参加した。

 同行海外支援チームによると、福井県内の外国人留学生約350人のうち県内就職者は毎年わずか数人。県内で留学生が地元企業と接する機会が少ないためだという。同行は留学生と県内企業のマッチング支援を強めており「優秀な人材を戦力にして競争力を高め、成長してもらうことが地域経済の活性化、定住人口の増加につながる」と説明する。

 同行が県内約380社に行った調査では、人手不足を補う人材確保策(複数回答)で最も多かったのは給与引き上げなどの処遇改善で、62%だった。外国人の採用との回答は9%だが、理由として「人材の多様化」「語学力・経験や人脈を生かした海外事業展開への貢献」を挙げる企業もあり、外国人雇用への関心の高まりはうかがえる。

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 建設機械向け高圧配管用継ぎ手の製造販売で世界シェア首位の日本エー・エム・シー(福井市)は外国人を積極的に雇用する企業の一つ。正規、非正規を合わせた従業員186人のうち、外国人は23人で全体の12%に上る。

 外国人の採用は中国進出に備え1996年から始めた。以降、日本人と全く同じ基準で外国人を採用している。山口康生社長は「国籍で区別した選考はしない」。日本人が敬遠しがちな3K(きつい・汚い・危険)職場を外国人で補うような考えはないとし「求めるのは社の成長に必要な人材。それが日本人だろうが外国人だろうが関係ない」と話す。

 有効求人倍率が2カ月連続で全国1位となり、製造業を中心に人手不足が深刻さを増す県内。ただ山口社長は、労働力を安易に外国人に頼っても「定着は難しい」と警鐘を鳴らす。外国人は、日本ならではの終身雇用を前提にした年功序列的な組織や賃金体系にはなじまない。定着率を高めるには「早い段階で責任ある仕事と役職を与え、適正な評価と、それに見合う昇給や賞与を出すことに尽きる」と語った。

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