奈良時代の僧泰澄大師が白山開山のため歩いたとされる約百キロの道のり踏破を目指した、福井県内の山岳愛好家団体・福井くろゆりクラブのイベント「泰澄白山開山への道を辿る」の最終行程が十一、十二の両日行われ、参加者五十五人が白山に登頂した。このうち全行程を歩ききったのは十五人。泰澄以来千三百年ぶりとみられる”偉業”達成に、山頂で御来光を浴びながら充実感をにじませた。

 同クラブは県内最大の山岳愛好会で、このイベントは同クラブ二十周年記念事業の一環。今年三月にスタート、泰澄が白山開山を思い立ったという福井市、越前町境にある越知山山頂(標高六一三メートル)から、伝説に基づいて設定した道を八区間に分けて歩いてきた。最終行程は白山市の市ノ瀬(標高八五○メートル)から白山山頂の御前峰(ごぜんがみね)(二、七○二メートル)までの一二・五キロ。


 十一日は好天に恵まれ、出発から約二時間の地点にある六万山からは目的地の山頂がくっきり。天候が良すぎたこともあって熱中症寸前の参加者もいたが、泰澄が髪をそったとの伝説が残る剃刀窟(かみそりいわや)などの歴史や、「一気に疲れが吹き飛んだ」という薄紫のかれんなハクサンシャジンの花などの自然を楽しみながらの山行となった。初日の目的地、室堂には約九時間で到着した。


 参加者は室堂で満天の星空を楽しんだ後に就寝し、十二日午前四時半ごろから順次登頂。同五時すぎからの御来光には自然と万歳の声がわき起こり、満面の笑顔で握手を交わす参加者も。越前禅定道の出発点・勝山市の地酒で乾杯し、それぞれの登頂とメンバーの偉業達成を祝った。


 全行程を歩ききった植村峯子さん(68)=福井市中荒井町=は「泰澄の苦労が少しでも分かったことがうれしい」と笑顔。藤本外史会長(66)は「百キロの道のりはさすがに遠く長かったが、泰澄と同じ汗をかき、歩ききった満足感でいっぱい」と話していた。